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  1. 熊本県議会 1988-09-01
    09月19日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和63年 9月 定例会┌──────────────────┐│  第 五 号(九月十九日)    │└──────────────────┘ 昭  和 六十三年  熊本県議会九月定例会会議録   第五号──────────────────────────昭和六十三年九月十九日(月曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第五号  昭和六十三年九月十九日(月曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十五名)                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 松 村   昭 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 前 田 貞 治 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 岩 下 榮 一 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 山 本 秀 久 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 米 原 賢 士 君                 永 田 悦 雄 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 水 田 伸 三 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(なし)   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 五 味 廣 文 君          福祉生活部長 小 澤   豪 君          衛生部長   星 子   亘 君          公害部長   佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     森   弘 昭 君          農政部長   松 村 敏 人 君          林務水産部長 藤 門 豊 明 君          土木部長   小 野 満 司 君          公営企業          管理者    道 越   温 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    田 嶋 喜 一 君          警察本部長  清 島 傳 生 君          人事委員会          事務局長   成 松 史 郎 君          監査委員   黒 田 昭 夫 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   大 山 清 勝          事務局次長  田 端 穂 積          議事課長   山 下 勝 朗          議事課長補佐 宮 崎 博 次      ―――――――○―――――――  午前十時四分開議 ○議長(米原賢士君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 一般質問 ○議長(米原賢士君) 日程に従いまして日程第一、十六日に引き続き一般質問を行います。 久保立明君。  〔久保立明君登壇〕(拍手) ◆(久保立明君) おはようございます。八代郡区選出の自由民主党久保立明でございます。昨年の九月定例議会におきましては無所属の立場で質問させていただきましたけれども、今回は、自由民主党議員の一員として質問の機会をいただきましたことを光栄に存じ、感激いたしております。この機会を与えていただきました先輩の諸先生方並びに同僚の先生方に厚く御礼申し上げたいと思います。 ただいまから行います私の質問は、地域性が強く、県下全般にわたっての内容に乏しいわけでございますけれども、何とぞ御容赦いただきたいと思います。ふなれで要領を得ない質問になろうかと思いますが、知事初め執行部の皆様方及び諸先生方の御協力をお願い申し上げまして、通告に従い、質問に移ります。(「兄貴よりかまじめかぞ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。 まず最初に、県南地域の振興策について知事の御所見をお伺いいたします。 昭和五十八年二月に細川県政が誕生しまして六年目に入り、この間さまざまな施策を知事は打ち上げられ、エネルギッシュな行動や歯切れのよい発言等により、熊本県が全国的に注目をされる県になっているということは県民ひとしく認めているところでございます。しかし、このように全国的注目を浴びていると言ったものの、その中身を見ますと、県南地域に居を構えております私どもの目からは、どうしても県南地域県北地域とを比較した場合は、県南地域のいろんな面で立ちおくれというものが気になるわけであります。 これをさらに突っ込んで申しますと、熊本都市圏周辺への諸機能の集中、いわゆるミニ一極集中が進んでいるということであり、最近話題に上がっております熊本市への周辺町の合併問題が進めば、さらにこの傾向に拍車がかかるのではなかろうかと危惧するものでもあります。もっとも知事の御尽力により、建設省のステップ計画の指定とともに、八代の活性化対策が先般打ち出され、県南運動公園八代臨港線の整備などが促進されることになり、八代地域はもとよりのこと、県南地域の振興の観点からも大きなインパクトだと思っているところであります。 このように、県南地域に対して県政の目が向いてきつつあることに対して感謝しているところでありますが、我が党の代表質問でも論議されましたように、私どもが県南振興の大きなプロジェクトとして期待しておりました九州新幹線八代―西鹿児島間の着工順位は、三線五区間のうち事実上四番目であり、しかも着工時期も明示されておりませんし、財源問題も年末の予算編成時に持ち越されるという厳しい状況であります。 このほか、県南地域における大きな課題としては、九州縦貫自動車道人吉―えびの間や南九州西回り自動車道の問題、湯前線の問題、水俣湾埋立地活用対策など、県南地域の将来を大きく左右する問題が横たわっているわけであります。 もちろん、地域振興の基本は、地域の熱意や創意工夫といったものが大切であり、私たち八代、水俣・芦北、人吉・球磨選出議員によりまして、昨年十二月十五日に県南振興議員連盟をつくり努力をいたしておるところでありますが、やはり地域振興の誘導策として、公共側からの基盤整備の充実が大前提であると考えるわけであります。 そこで、県南地域、特に八代、人吉・球磨、水俣・芦北地域につきまして、今まで述べました課題等を踏まえられ、どのような核的振興策を考えておられるのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 県南地域の振興につきましては、シナリオでも明らかにしておりますとおり、均衡ある県土の発展という観点から、大変重要な課題であるということはたびたび申し上げているとおりでございます。 県南地域振興の核となる振興策として、まず八代地域につきましては、県南の拠点地域として、九州縦貫自動車道西回り自動車道、あるいは八代港の整備や県南運動公園八代臨港線などの基盤整備が重要でありますし、そうしたものの整備を国の事業を取り込みながら積極的に推進をしているところでございます。 さらに、八代地域の拠点性を高めるためには、八代市を魅力ある都市としてその都市機能を充実していくことも極めて重要なことでありまして、その一環として、来月には第一回の県民文化祭を八代市で開催することとし、また旧球磨川駅の跡地を活用した市街地整備構想の推進でありますとか、あるいは地域住民レクリエーションの場としても利用できる水無川の河川環境の整備などを進めますとともに、地域内交流を図る幹線道路などにつきましても、その整備や改良を極力推進していくことにいたしております。 また、人吉・球磨地域につきましては、今申し上げました縦貫道の開通を機に、南九州の結節の拠点として、例えば人吉インターチェンジの周辺における流通施設の整備などが考えられておりますし、また国におきましては、この地域の総合的な整備について調査が実施されているところでございます。 県としても、これにあわせまして既に今月から地元と一体となって検討を進めておりまして、学識者などから成る検討会を来月にもスタートさせることにいたしております。 なお、新たな取り組みとして、第三セクター方式で存続が決まりました湯前線につきまして、その鉄道の振興に結びつく沿線の地域振興についての調査費を今議会にお願いをしているところでございます。地元におきましても、商店街の活性化を図るため、民間主導で事業を進めるなど盛り上がりも見られますが、県としてもそのような自助努力を積極的に支援をしてまいりたいと思っております。 それから、水俣・芦北地域につきましては、健康で明るい地域イメージヘの転換を図ろうとしているわけで、公害防止事業が六十四年度に完了するのを機に、埋立地の活用策とともに、環境復元をアピールする国際的なイベントの六十七年開催につきましても検討を進めているところでございます。 また、芦北海岸では恵まれた自然環境を生かしたレクリエーション施設が大変活況を呈しており、今後もこのような地域資源を活用した施設の整備につきまして、地元とともに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 なお、この地域の振興の大きな弾みになるものと期待される南九州西回り自動車道の日奈久―水俣間につきましても、建設省におきまして調査を進められると聞いておりますが、県としても側面的な協力をいたしますとともに、整備促進につきまして国に強く要望していくことにいたしております。 また、天草地域につきましてもリゾート基地建設構想などいろいろ取り組んでいるところでございますが、いずれにいたしましても、県土の均衡ある発展を図るという観点から、県南地域の振興は極めて重要であると考えておりまして、今後とも効果的な手を打ってまいりたいと考えているところでございます。  〔久保立明君登壇〕 ◆(久保立明君) 御答弁ありがとうございました。八代地域、人吉・球磨地域、水俣・芦北地域、それぞれの施策を明らかに示され、県土の均衡ある発展を図るという観点から県南地域の振興は極めて重要で、今後とも効果的な施策に積極的に取り組む姿勢を示していただき意を強くいたしました。県南地域振興にますます御尽力いただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 次は農業問題でございますが、今回は、八代中山間地域茶業振興を中心にお尋ねいたします。 八代地域平たん地域と中山間地域に区分して農業の状況を考えてみますと、平たん地域では、イグサ、施設園芸など生産性の高い農業が営まれております。特に耕地十アール当たりの農業所得九州ベストテンに、八代平たん地域の千丁町、鏡町など五市町が名を連ねていると承っております。その生産性の高さを誇っているところであります。これに対しまして、坂本村、東陽村、泉村のいわゆる中山間地域は、耕地十アール当たりの農業所得が県平均と同等かそれ以下にあるというように、農業振興の上で大きく立ちおくれております。 それでは、中山間地域に農業面で見るべきものがないかと申しますとそうではなく、坂本村では、生産量は多くありませんが、イグサの良質のものが生産されておりますし、東陽村は、御承知のとおり県内一のショウガの里として知られているところであります。また泉村では、既に定着しておりますお茶のほかに、トマト、キュウリ、生け花用の枝物など、新たに振興が図られている作物も見受けられます。さらに、東陽村と泉村とで連携して生産されているエノキタケは「五家荘えのき茸」という統一したブランドで、スーパー等で販売され、好評を博しているところであります。 ここで中山間地域の農業の基礎的な条件を振り返ってみますと、生産基盤の点では、耕地が傾斜地に点在して区画整理農道整備がおくれており、経営構造の点では、農家の九割が一ヘクタール以下の小さな経営規模で、農業人口も減少しつつあるという大きな問題が存在しております。 このような問題点を踏まえて、中山間地域農業振興を考えますならば、中山間地域という立地条件に適合したもの、需給が比較的安定しているもの、さらに坂本、東陽、泉に共通的に栽培されているものということから、お茶が地域振興の中心的な作物としてとらえられます。 それでは、地域のお茶の現在の状況はどうかと申しますと、八代中山間地域では、二百八十ヘクタールの茶園で蒸し製玉緑茶及びかまいり製玉緑茶が生産されており、山間の特徴を生かして香りの高い上質のお茶がつくられております。例えば泉村においては、全国の茶品評会で過去二度も産地賞を獲得しているという状況であり、中山間地の基盤条件のよくないところでも、お茶については品質面で全国に十分対抗できるものを持っているのであります。 全国のお茶の需給状況が現在ほぼ均衡した状況にありまして、全国的にはお茶の生産拡大を図る状況にないことはもちろん承知しておるところですが、蒸し製玉緑茶、かまいり製玉緑茶という、全国から見れば特殊なお茶を、関東、関西の消費者に提供することによって、産地間競争に勝ち残る方法を求めることが本県茶業振興の一つの方向であります。 このような観点から、八代中山間地域茶業振興を検討してみますと、やはり先ほど申しましたように、茶園の土地基盤整備ができていないとか防霜施設がなされていない等が大きな問題であります。この基盤整備については地元でも大きな関心が寄せられているところでありまして、実は泉村では、県が進めておられる地力増進事業の指定を受けまして、昭和六十一年から茶園の土壌調査等を行っておりますが、その調査事業集落検討会を行う中で、茶園の改植や区画整理をやらなければならぬという意識が農家の方々に芽生えてきたのであります。私もこれにはぜひ対策を講じるべきだと思っているところです。 そこで、農政部長にお尋ねするのでありますが、八代中山間地域農業振興を図る上で中心となるお茶について、特に基盤整備対策をどのように進めようと考えておられるのか、お尋ねいたします。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) 八代中山間地域におきまして、蒸し製玉緑茶、それからかまいり製玉緑茶といった良質のお茶が生産されまして、地域の中心的な作物となっていることは御指摘のとおりでございます。 茶園の整備についてでございますが、この地域の茶園は、傾斜地で園地が狭く、また階段状の園地が多いために、二ヘクタール以上を対象といたしております農業生産体質強化対策事業などの国の補助事業では整備が思うように進まないといった状況にございます。このため、本年度から県単独の補助事業といたしまして、茶産地合理化再編対策事業によりまして、茶の改植を中心として、圃場の深耕、排水対策等茶園整備を進めているところでございます。 八代中山間地域には、改植、農道整備園地整備等基盤整備を要します茶園が約百ヘクタール程度ございますけれども、現在地元の町村において事業希望がまとめられつつございまして、その結果に基づいて農業生産体質強化対策または茶園地合理化再編対策による事業実施を検討することといたしております。 さらに今後、点在茶園、畦畔茶園等条件の悪い茶園につきましては、地元の意見を聞きながら条件の整った新しい団地を造成するなど、生産農家の体質強化を図ってまいりたいと存じております。  〔久保立明君登壇〕 ◆(久保立明君) 御答弁ありがとうございました。茶園の基盤整備は山の地形からして難しい点が多いと思いますが、本年度から県単独補助事業として、茶の改植を中心に圃場の深耕、排水対策等茶園整備を推進していくお考えを示していただき、ありがとうございました。今後、地域の特性を生かした茶の生産が高められますよう、地元町村との連携を深めていただきますことをお願いいたしますとともに、鏡町にあります農業試験場八代支場が、このたびい業研究所として整備されると聞き及んでいるところでありますが、八代支場園芸部は、これまで地域の高度技術の拠点としても貢献してきましたので、今後とも八代地域の技術の拠点としても、園芸部の存続と一層の充実をお願いし、八代地域物産展示センターの建設について要望を申し上げます。 知事におかれては、年頭の記者会見において、ことしは県南地域の振興に力を入れていくと表明され、また四月の記者会見においては、県南地域の拠点である八代市の活性化対策について言及していただき、我々県南地域に住む者にとっては大変心強く、また大きな期待を寄せているところであります。 ところで、地域の振興を考えます場合に、地域に存する資源に着目する必要があるわけでございますが、幸い八代地域は、日本一のイグサあるいは東陽村のショウガなど恵まれた農産物資源があるわけでございます。またイグサの加工などを通した物産の振興が必要になるわけでございます。そこで、物産の展示即売、新商品の開発、人材の育成、需要の開拓等の拠点になる施設を設置し、人、物、情報の交流に努めるならば、八代地域の振興に寄与することは極めて大なるものがあると思います。 幸い、地元においても、このような施設設置の声が出てきておりますので、県におかれても、このような施設の必要性を十分に認識していただくとともに、地元の声を育成していただき、ぜひとも八代地域物産振興の核となる施設が設置されるよう御助力いただくことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。 次は、道路整備について土木部長にお尋ねいたします。 まず、主要地方道宮原五木線大通峠付近の整備についてでありますが、この道路は、国道三号線の宮原町から東陽村を経て五木村に通ずる道路で、国道四百四十五号線により人吉市とも連絡しており、人吉・球磨地域の人々にとりましては熊本都市圏とを結ぶ最短距離の道路となっております。また、この路線は、国道二百十九号線が災害に弱い道路であり、迂回路としての機能をも担っている道路であります。 大通峠は、その昔、五木から他藩に出る要所として番所のあったところで、標高七百七十四メートルの展望所からは眼下に八代平野、八代海が見おろせ、はるかかなたには天草、雲仙の島影を望むことができます。また、このあたり一帯は五木五家荘県立公園に指定されており、近くには国見岳もあり、手つかずの自然が残っており、春の新緑、夏のキャンプ、秋の紅葉と四季を問わず楽しませてくれます。東陽村は、橋本勘五郎に代表される肥後の石工の里でもあり、河俣川にかかる鹿路橋や笠松橋など現在でも大小の石橋が多数残っております。 これらの観光資源を球磨地区の観光資源と有機的に組み合わせた観光開発に村民は大変期待をいたしておりますが、それにはまずこの路線の整備が急務であると考えております。そこで、この路線の東陽村及び大通峠付近の現況と整備状況についてお伺いいたします。 次に、主要地方道宮原甲佐線の整備についてお尋ねいたします。 この道路は、八代郡宮原町の国道三号線から東陽村、泉村、中央町を通り上益城郡甲佐町に至る道路であります。沿線には小集落が点在し、小学校もあり、地域住民にとって、通勤通学、そして生活道路にとどまらず、立神峡を初め日本一の石段等の観光地もあり、観光道路としてあるいは当地域の主産業である林産物の搬出路としての機能をも担っております。また泉村にとっては、八代市方面への唯一の道路であるばかりでなく、熊本市方面へは最短距離の道路となっております。 私は、先般泉村で青年との会合を持ったわけですが、そのときある青年が「先生、宮原甲佐線がもうちょっとよか道路なら自宅から通勤でくっとばってんですね」という言葉を聞いたわけです。この青年の言葉のように、私は、道路整備は、地域間の交流を促進するとともに、定住化をも図り、過疎化に歯どめがかかる一つの手段ともなり得ると考えております。地方の人々にとって唯一の交通手段は自動車であります。地域住民道路整備に夢を託しております。そこで、この宮原甲佐線の東陽村及び泉村地域内の現況と整備状況についてお伺いいたします。 次は、要望でございますが、八代郡竜北町島地地内の交差点の安全対策でありますが、県道八代鏡宇土線町道南鹿野野津橋線との交差点でありますが、この町道は氷川堤防右岸の兼用道路であります。この沿線集落からの交通量が近年大幅に増加いたしております一方、県道八代鏡宇土線は一日一万台を超える交通量がある上、町道は道幅が狭く見通しが悪いため、県道乗り入れに支障を来している現況にあります。この交差点は、位置的に河川改修、橋梁等にも影響があるやに聞き及んでおりますので、検討に時間を要するかと思料されますが、地域住民の切なる願いでありますので、早急な対応を要望いたします。  〔土木部長小野満司君登壇〕 ◎土木部長(小野満司君) 道路整備についてお答えいたします。 お尋ねの第一点、主要地方道宮原五木線の整備についてでございますが、この道路は、八代郡宮原町を起点とし、東陽村を経て五木村に至る実延長三十一・七キロの道路でございます。昭和六十三年四月一日現在の改良率はおよそ六二%となっております。 東陽損内の整備状況でございますが、現在、鶴地内、鹿路地内、鶴木場地内及び南地内におきましてそれぞれ改良工事を継続実施中でございますが、鹿路地内は本年度改良工事を完了させたいと考えております。 特にお尋ねの大通峠付近につきましては、五木村内は既に整備済みとなっておりますけれども、東陽村側については村境から約一・七キロメートルが未改良となっております。 この区間の整備についてでございますが、当地域が地形的に急峻でかつ地質的にも大変複雑であること等から、建設費に莫大な費用を要するものと考えられまして、本年度から当該地域の調査を実施することにいたしております。 次に、主要地方道宮原甲佐線についてでございますが、この道路は、八代郡宮原町を起点とし、東陽村、泉村、中央町を経て甲佐町に至る実延長二十五・八キロの道路でございます。昭和六十三年四月一日現在の改良率はおよそ七〇%となっております。 東陽村及び泉村の整備状況でございますが、東陽村では畑中地内を、泉村では松ノ原地内をそれぞれ改良工事を継続実施中でございますが、泉村松ノ原地内は本年度改良工事を完了させたいと考えております。また泉村古屋敷地内の未改良工区につきましては、本年度補助採択を得まして現在調査を行っているところでございます。 両路線とも重要な幹線道路であり、今後とも地元の協力をいただきながら事業の促進に努めてまいります。  〔久保立明君登壇〕 ◆(久保立明君) 御答弁ありがとうございました。大通峠付近については、地形的に急斜面でかつ地質的にも大変複雑であること等から建設費に莫大な費用を要するにもかかわらず、本年度から峠の調査を実施することを明らかにしていただいたし、泉村松ノ原地内は本年度改良工事を完成させたいとのお考えであり、両路線とも重要な幹線道路であることの認識の上に立ち、事業の促進に積極的姿勢を示していただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたしまして、次の質問に移ります。 次に、氷川ダム周辺の環境整備についてお尋ねします。 御承知のとおり、氷川は五家荘付近に源を発し、奥深い九州山地の水を集め、八代平野を貫流して不知火海に注ぐ二級河川でございます。この河川の上流部泉村下岳地区に、治水対策と流域開発を目的としてダムが昭和四十八年に建設されました。このダムの完成によりまして、下流部の治水対策は大幅に促進され、また下流約千八百ヘクタールの農業用水や郡内六町村の上水道に利用されているなど、流域一帯の受ける恩恵はまことに大きいものがあります。 このように、治水、利水面で有効な氷川ダムも、環境面での整備はいま一つという感じがします。氷川ダムは、熊本市まで約四十キロメートル、八代市へは約三十キロメートルの位置にございまして、さらに、ダムのある泉村全域が県立自然公園にも指定されており、年間二十万人に近い観光客が訪れます。したがって、ダム周辺の環境を整備して、その施設を利用することでさらに多くの方々に楽しんでもらったらと考えております。それが過疎化に悩むこれらの地区の活性化に役立つと確信しています。 幸い泉村では、県で実施中の熊本・明日へのシナリオ「魅力あふれる個性的な観光拠点づくり」その一環として、泉村のすぐれた自然環境と日本でも数少ない平家落人伝説を持つ秘境五家荘などの特性を生かした観光拠点づくりを計画し、村の活性化を目指しております。既に氷川ダムの湖は、森と湖に親しんでもらえるよう「肥後平家湖」と命名しておりまして、地元といたしましても氷川ダム周辺環境整備計画への期待は大きいものがあります。 さらに、このように私たちにとってかけがえのない貴重な水辺空間の中で、子供たちがキャンプ生活などを通して自然環境を体験できるような場づくりと申しますか、大いに自然とのスキンシップが図れるような整備をしていただき、校外学習の場として生かしてもらいたいと思います。 このような観点から、氷川ダム周辺環境の整備についてどのように考えておられるのか、土木部長の御所見をお伺いいたします。  〔土木部長小野満司君登壇〕 ◎土木部長(小野満司君) 氷川ダム周辺の環境整備についてのお尋ねでございますが、近年の国民生活における余暇時間の増大などによりまして、精神的な憩いを求める傾向が強くなってきておるのは御承知のとおりでございます。加えて、道路の整備と自動車などの普及によりまして、行動範囲が拡大したことによって、余暇の利用とレクリエーションヘの関心が高くなっているのはお話のとおりでございます。 こうした状況を踏まえまして、お話にありましたような親水性を持った周辺整備を図ることなど、県民の環境整備に対する要請に対応していくことは今後の重要な課題になると考えております。 また、八代郡泉村では、村の活性化を図りながら魅力ある豊かな村づくりを目指して、昭和六十二年に策定されました泉村釈迦院周辺総合基本計画の中で、氷川ダム湖周辺の施設整備を大きな柱にしておられると伺っております。 県といたしましても、氷川ダム周辺の環境整備につきましては、地元の皆さんの意向を踏まえて、現在国との協議を行っているところでございます。  〔久保立明君登壇〕 ◆(久保立明君) 御答弁の中に、六十四年度の新規事業としてダム周辺環境整備事業を国に対し要望しておられるとのことがわかりましたし、計画が認められましたら、護岸整備、樹木の植栽による緑化整備、駐車施設、水飲み場などの施設をして県民に喜ばれる環境の整備に取り組みたいと積極的姿勢を示していただきました。環境整備事業が国から認可されますよう強く働きかけてもらいたいとお願いし、次の質問に移ります。 次に八代郡における企業誘致について商工観光労働部長にお尋ねいたします。 八代地域は、御承知のとおり日本一のイグサの生産地として全国的にも知られているところでありますが、熊本・明日へのシナリオの中でも高生産性農業と工業の調和ある発展を図るとされております。御承知のように、九州縦貫自動車道の八代―人吉間が昭和六十四年末開通し、さらに将来南九州西回り自動車道が完成すれば、八代地域の交通アクセスは大きく向上することになります。この機会に地場企業の育成を図ることはもちろんでありますが、企業誘致に積極的に取り組むことが肝要であります。そこで、八代郡の企業誘致について次の二点についてお伺いしたいと思います。 まず第一点は、鏡町の郷開工業用地への企業誘致であります。これにつきましては私が昨年九月定例会でも質問をしたところでありますけれども、その後、県御当局の熱心な御指導のもとに、東証一部上場の大手企業である帝国産業株式会社の一〇〇%出資によるくまもとテイサンの進出が決定したところでございます。くまもとテイサンの進出により、当用地へは、昨年進出したヒカワソーイングとあわせ二社の進出を見たところであり、この場をおかりしまして知事さんに対し厚く御礼申し上げる次第であります。 しかしながら、二社の進出が決定いたしましても、工業用地十四ヘクタールのうち一・四ヘクタールの分譲がなされたのみで、残り十二・六ヘクタールについては未分譲であります。当用地は、旧日産化学の跡地であり、造成の必要もなく、立地条件としては比較的恵まれていると思われます。そこで、県として郷開工業用地の企業誘致についてどのように取り組まれるのか、お伺いします。 第二点は、坂本村への企業誘致であります。坂本村におかれては、昨年十月、西日本製紙株式会社の閉鎖が決定されて以来、二百五名の従業員の再就職に親会社の十条製紙株式会社とともに努力を重ねてきたところであります。この二百五名のうち、七十七名は十条製紙八代工場へ、八十二名は他業種への再就職が決定したのでありますが、残り四十六名の方が退職となっております。この四十六名の中には定年退職の方も含まれておりますが、西日本製紙株式会杜が今月いっぱいで閉鎖される現在、これら再就職希望者の雇用の場の確保を大変心配しているわけであります。 坂本村は、他に見るべき企業もなく、現在人口八千百三名の村で特別過疎地域に指定されておりますが、このままでは過疎はますます進み、村の存亡にかかわる重大な危機を迎えています。これ以上の過疎を食いとめるには、西日本製紙株式会社にかわる企業の誘致が必要であります。幸い、県御当局と村の一体となった熱心な誘致活動の結果、本年五月、電子部品の製造メーカーである神田工業株式会社の進出が決定し、本年十月操業開始を目標に工場建設が急がれているところでございます。坂本村は、その地形から大規模工業用地がなく、企業の立地条件としては決して恵まれているとは言えません。しかしながら、神田工業株式会社の進出が決定したように、ターゲットを絞れば企業誘致の可能性は大きいと思われます。そこで、県としては過疎の進む坂本村への企業誘致についてどのような方針で取り組みをなされるのか、お尋ねをいたします。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) 本県の企業誘致数でございますけれども、昭和五十七年以降今日まで四十九市町村に百四十五社となっておりますが、このうち八代郡には、これまで四市町村に五社が進出しているところでございます。 お尋ねの第一点、鏡町の郷開工業用地への企業誘致の取り組みでございますが、この用地は、農村地域工業導入促進法によります農工地区に指定されているとともに、都市計画法によります工業地域としても指定されているところでございます。未分譲の十二・六ヘクタールはまとまった地形をなしておりまして、大規模企業の立地にも十分対応できる広さがあるわけでございます。また、国道三号線まで二・五キロメートル、八代インターチェンジまで八・五キロメートルと比較的交通アクセスにも恵まれております上に、御指摘のように、六十四年末に八代―人吉間の高速道が開通いたしますれば、なお一層条件がよくなるものと予想されているところでございます。このような立地条件から、先ほどお話がございましたように、本年四月くまもとテイサンの進出が決定いたしまして、既に七月から操業を開始しているところでございます。 今後の取り組みでございますが、この恵まれた立地条件を生かし、機械工業、農産物加工、住宅関連などの比較的大規模企業の誘致を図りますとともに、あわせて中小規模の企業の誘致にも積極的に取り組んでいくことにいたしております。 いずれにいたしましても、同用地は県南地域におきます企業誘致の重要拠点と位置づけておりますが、鏡町におかれましても企業訪問等熱心に誘致活動に取り組んでおられ、今後とも県、町一体となりまして誘致活動を展開していく考えでございます。 第二点の坂本村への企業誘致の方針でございますが、西日本製紙株式会社にかわる企業の誘致では、先ほど述べられましたように、神田工業株式会社が村の熱心な誘致活動の結果進出が決定いたしているところでございます。同社の坂本工場は、当初従業員五十名で来月操業を開始し、昭和六十六年には従業員百八十名、出荷額二十五億円になる予定でございます。したがって、西日本製紙株式会社の従業員の方の再雇用につきましては十分対応できるものと期待しているところでございます。 また、御指摘のように坂本村の企業立地条件は恵まれているとは言えないわけでございますが、八代―人吉間の高速道が開通いたしますと交通アクセスも改善され、南九州をマーケットにした企業等の誘致ができるのではないかと期待しているところでございます。 今後の方針でございますが、工場用地の確保を進めますとともに、村内を中心に今後どれだけの労働力の供給が可能かといったこと等も見きわめながら、企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。  〔久保立明君登壇〕 ◆(久保立明君) 御答弁ありがとうございました。郷開工業用地につきましては、県南地域における企業誘致の重要拠点として位置づけていただいていること、また、恵まれた立地条件を生かし、比較的大規模、中小規模の企業誘致に県、町一体となって取り組んでいくと積極的姿勢を示していただきましたし、また坂本村につきましても、立地条件や労働力の供給等検討しながら、坂本村に適した企業誘致に取り組む考えであることを明らかにしていただきありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたしまして、次の質問に移ります。 次は、観光振興について商工観光労働部長にお尋ねいたします。 さきに発表されました熊本県観光統計によりますと、昭和六十二年中に県内を訪れた観光客の総数はついに三千万人を突破し、記録の更新をいたしております。これは、五十七年度から三年ごとに展開されてきた「情熱発見くまもと」に続く「友・誘・遊くまもと」の大型観光キャンペーンが大きな要因であったことは確実でありますが、さらに今年度から「超魅力くまもと」キャンペーンが展開され、官民一体なっての観光振興に対する意気込みがひしひしと伝わってくるようであります。改めて観光に携わる方々の日ごろの努力に敬意をあらわすものであります。 さて、このように観光が一つの産業として行政の上で大きく取り上げられるようになったのは、高度成長を遂げた我が国経済、福祉の向上による国民生活の安定、あるいは高齢化社会、余暇増加という社会情勢の変化によるものであります。ともあれ全国的に各都道府県あるいは市町村が挙げて観光振興に力を入れるのはなぜだろうかと考えてみますと、観光客の伸びはそもそも地域経済を大きく左右する原動力になっているからであります。 ちなみに、観光客の落とす宿泊・飲食費、交通費、商品購入費などの観光消費額を見ますと、本県の場合、六十二年一月から十二月までの間に約二千二百五十三億円が消費されております。さらに、県内産業に及ぼす波及効果はその約二倍の四千五百億円と実に膨大な額となっているわけでありまして、とりもなおさず、これは回り回って県民生活を豊かにする結果となるからであります。 観光資源に恵まれた本県におきましては、特に阿蘇地域では高原型リゾート、天草地域では海洋型リゾート、また荒尾・玉名地域ではアジアランド構想など大規模観光施設の計画が進められており、一方、八代地方では建設省のステップ計画を核とした八代市活性化計画が発表されたところであります。 ところで、観光振興策ということにつきましては、社会情勢の変化等を勘案し、長期的視野に立った滞在型保養地としてのリゾートの開発を進めながら、基本的には自然資源そのものを生かした、その地域にしかない独特の雄大な自然、伝統文化などを観光と有機的に結びつけ、観光客のニーズに合わせた観光施策に取り込んでいくことが重要ではないかと思うわけであります。特に五木五家荘県立自然公園は、七つある県立自然公園のうち最も広大な地域で約二万六千ヘクタールにも及び、その自然景観は豊富で変化に富み、訪れた人々に言い知れぬ感動とロマンの世界を提供してくれるに十分な秘境であることは周知のとおりであります。 最近では、観光振興が地域づくりの一環であるという考え方に立って、関係町村では並み並みならぬ努力の跡が見受けられますが、観光拠点として位置づけられた立神峡、石橋群、三千段の石段・釈迦院、古代民家苑、樅木のつり橋、栴檀轟の滝など、たくさんある観光地が依然として線に結びついていないのが現状のようであります。例えば三千段の石段については、六十二年中に約三十万人の人がここを訪れていますが、五木・五家荘地域の観光客総数は約二十二万人であり、その主な集客力としては、もみじ狩り、釈迦院の祭りであって、三千段の石段とのつながりは少ないようであります。 なぜかと申しますと、一つには、交通アクセスの問題ではないかと思います。離合もできないような狭い道路が多く、しかも観光ルートとして利用できない部分もございます。五家荘は秘境というイメージからして、また地形的にも完全な二車線の道路は望めないにしても、せめて観光客の一番多い紅葉の時期についての交通アクセスの御検討をお願いしたいと思います。 何はともあれ、この地域を訪れる人々に本当のよさを知っていただくためには、四季折々の自然の営みを自然の中で肌で感じていただくことではないかと思っております。したがいまして、今後は滞留性の高い観光地としての位置づけに何らかの施策が必要ではないかと考えるわけであります。 以上述べましたように、交通アクセス、観光ルート及び滞留性の問題など、当該地域の観光振興策としてどのような対策が必要なのか、県のお考えをお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) 八代地域、特に五家荘周辺の観光振興についてのお尋ねでございますが、この地域は秘境と言われます五家荘が魅力の中心となっておりまして、宮原町の立神峡、中央町の三千段の石段及び東陽村の石橋群などの周辺も含めまして、マイカーでの観光ルートといたしましては一般的に利用されているところでございます。しかし、観光バスにつきましては、道路幅の関係でマイクロバスのみが利用されておりまして、これからは道路の整備が大きな課題となっているところでございます。 お説のとおり、この地域は、地形的に見て短期間での道路の拡幅は難しいために、離合箇所の増設や急カーブの除去などで対応します一方、関係機関と連絡を密にしながら交通アクセスの改善に努めてまいりたいと思っております。 次に、観光客の滞留性を高めるための方策といたしましては、どうしてもこの地域に泊まらなければ体験できない特異性のあるイベントや自然の営みなどを盛り込んだ企画の商品化が必要ではないかと考えております。例えば西日本四大秘境と言われております本県の泉村を初め、宮崎県の椎葉村、徳島県の東祖谷山村及び奈良県の十津川村が連帯して行っております日本秘境サミットでありますとか、もみじ狩りや親子で水と親しむヤマメのつかみ取り大会、あるいは三千段の石段登りのほかに、四季を通じまして自然の中で動植物との触れ合いの場をつくるなど、秘境という地の利を生かしましたソフト面の開発が重要ではないかと思っております。 今後とも関係町村との連携をとりながら、当該地域ならではの観光振興策の展開に力を入れてまいりたいと思っているところでございます。  〔久保立明君登壇〕 ◆(久保立明君) 御答弁ありがとうございました。秘境五家荘を中心に、泉―東陽―宮原をルートとした観光振興に力を入れていただいておることがよくわかりましたし、道路の整備として、離合箇所の増設や急カーブの除去などの対応で交通アクセスの改善に努めるとの姿勢を示していただき、大いに期待いたしまして、次の質問に移ります。 次に、在宅福祉の柱となるデーサービス事業の拡充についてお尋ねいたします。 高齢化、長寿化の進展に伴い、今後七十五歳以上の後期高齢者人口の伸びが著しいことから、寝たきりや痴呆性のような要介護状態の老人は一層増加することが見込まれております。 一昨年、総務庁が六十歳代の人に対して行った「老後の生活と介護に関する調査」によると、寝たきりとなったときの介護等について、心配することが「よくある」一六%、「ときどきある」三九%と半数以上が不安を持っています。また、自分が寝たきりとなった場合に介護を頼む相手方としては、配偶者等「家族、親族」が八割以上を占めており、その多くが在宅での介護を望んでおります。また、三、四十歳代の人では、親が寝たきりとなった場合の介護等について、心配することが「よくある」二一%、「ときどきある」四二%と六割以上が不安を持っております。さらに、家族以外の介護サービスの利用についての意向調査では「利用したい」と答えた人の割合が半数を超えています。 年をとって心身機能の衰えや障害等が見られても、家族や近隣の人々との人間関係を保ちつつ、必要なサービスを利用しながら、住みなれた家庭や地域において生活を送ることはだれしもが望んでいることであります。しかし現実には、介護する家族にとって、経済的、精神的、身体的な負担は少なくないのであります。例えば昭和六十年の全国民生委員児童委員協議会の調査によりますと、主たる介護者の八割は「妻」や「嫁」などの女性であり、そのうちの三分の二は五十歳以上であります。また介護時間については、半数が「昼夜問わず一日中」と答え、「体がつかれる」「この先不安」などの疲れや精神的不安を訴えております。 このような家族の介護の負担を少しでも軽減し、老人の処遇を向上していくためには、地域における在宅支援体制を確立していくことが重要ではないかと思います。 私の出身地八代郡においては、県下でもいち早く宮原町の特養早尾園に郡医師会の支援のもとにデーサービスセンターが設置され、五カ町村の多くのお年寄りたちが、入浴や食事サービスなどを受けられて、一日施設での充実した時を過ごされておると同時に、御家族の方にとっては介護負担の軽減にもつながり、地域の人々から大変喜ばれております。 県におかれては、全国より十年早いペースで進む高齢化に対応するため、在宅福祉に力を注いでおられ、各種の施策を展開しておられますが、中でもデーサービス事業を中核的事業として、そのセンターの整備を逐次計画的に図っておられるところです。センターの数は六十二年度末には全国第五位となり、施設設備の進捗テンポは全国一ということで大いに評価されるところであります。 今後とも県民すべてが安心して快適に老後を過ごせるよう、全国のモデルとなるような取り組みを強く期待いたしますとともに、デーサービス事業の拡充の方策についてどのようにお考えになっているのか、福祉生活部長にお伺いいたします。  〔福祉生活部長小澤豪君登壇〕 ◎福祉生活部長(小澤豪君) お話にありましたように、高齢者の多くの方々は、老後も住みなれた地域の中で、家族や隣人とともに暮らすことを希望されております。施策もそれに沿ったものにならなければならないと考えております。そのような観点から、昨年度県におきましては、高齢者サービス総合調整推進会議を設置したのに引き続きまして、本年度は、在宅福祉サービス事業の主たる実施者でございます市町村において、高齢者サービス調整チームを設置していただき、具体的な福祉ニーズに適切に対応できるようなシステムづくりを進めているところでございます。 そのような状況の中で、在宅福祉サービスの重要な柱となりますデーサービス事業につきましては、人口二万ないし五万人ごとに一カ所整備することといたして六十一年度から計画的に整備を進めておりますし、県内全市町村のお年寄りの方々がデーサービス事業を受けられるような状況にしたいと考えております。また、地域の実情に沿った運用を行いまして、お年寄りの方々が在宅においてぬくもりのあるサービスを受けられるよう今後とも努力をしてまいりたいと思います。  〔久保立明君登壇〕 ◆(久保立明君) 御答弁ありがとうございました。寝たきり老人がふえる中、本年度には市町村に高齢者サービス調整チームを設置されることや、県内全市町村のお年寄りの方々がデーサービス事業を受けられるようにしたいと積極的姿勢を示していただき、この後の御努力に期待しながら、次の質問に移ります。 小学校におけるスポーツ活動の実情と対策ということで、本県における児童のスポーツ活動とその対策について教育長にお伺いいたします。 本県におけるスポーツ活動は、関係者の御尽力により、県民の間で幅広く親しまれているとともに、全国大会はもとより国際大会においても数多くの好成績をおさめ、県民に強い感動と活力を与えていただいていることに衷心より感謝申し上げる次第であります。 とりわけ小学校のスポーツ活動は、全国的にはそのほとんどが体育協会傘下のスポーツ少年団活動として活動がなされておりますが、本県では学校教育活動の一環として位置づけられ、運動部活動として推進されておられることは、スポーツ活動が教育上極めて重要な役割を果たすことを考えるとき、児童一人一人を熟知された指導者のもとで行われる熊本県方式が最も望ましい姿であり、強く賛同する者の一人であります。 本県で活動している児童の実態を調べてみますと、児童総数八万三千人の七六%を占める五万六千人という多くの児童が参加しており、生活体験の少ない最近の小学生にとってまことに意義深いことであろうと思います。 御承知のとおり、部活動は、生活経験の乏しい子供にとって人格形成上極めて重要な役割を果たすものでありますから、一人でも多くの子供たちが参加することが望ましいことであり、先ほど申し上げましたとおり、七六%の小学生が参加しておりますことはまことに喜ばしいことであります。 夏休みに行われました熊日学童オリンピックでは、九種目に一万五干余名の児童が参加して連日新聞紙上をにぎやかにし、また、全国大会においてはハンドボールに優勝するなど、その活動状況は目をみはるものがあり、日ごろから熱心に指導に携わっておられる先生方を初め関係の方々の御尽力に心から敬意を表するものであります。 私も、日ごろから児童生徒がスポーツ活動に親しみ、日常生活の中で健康で明るい生活習慣が醸成されていることは極めて重要なことと考えているものであります。しかしながら、家の中にこもりがちになる子供たちの姿を見かけることもあり、何とかしてさらに多くの児童が、明るい太陽のもとで生き生きと先生と児童が一緒になってよい汗をかいてほしいと思うものであります。 本県の小学校にはすばらしい指導者が数多く配置されており、先ほど申し上げましたように、スポーツ活動が活発に行われているのでありますが、小学校におけるスポーツ活動を考えるとき、競技会、練習試合、さらには練習時間等において、ややもすると危惧される面が多く見られるように思うのであります。この時期は身体的に発達が非常に早いときでありまして、身体機能が不完全な状態でもあると思うのであります。したがって、私は、小学校におけるスポーツ活動は、児童の身体の発達段階を考慮しながら進めることが大切ではなかろうかと思うのであります。 さきに参加率が七六%と申しましたが、その活動内容の実態を考えますと、競技会が先行し、勝負にこだわる状況や地域によっても隔たりがあると聞いております。さらに、一部の種目では技能を優先して取り入れる必要のあるものもありますが、ただ、いちずに競技力を高める目的で活動を進めると、健康阻害や心身のバランスを失うような問題が出現することも懸念されますので、基礎体力や調整力を高めるなど、この時期における適切なスポーツ活動を推進し、その上に立って技能の習得を図る必要があると思っているわけであります。 このようなことから、小学校段階におけるスポーツ活動は、児童一人一人の心身の発達段階に応じた指導が重要であり、基礎基本を重視したものでなければならないと思います。 以上述べてまいりましたが、本県の児童のスポーツ活動は全国でも卓越したものでありますが、昭和七十四年の国体開催もあり、今後さらに問題点を十分検討しながらこの活動の振興を図る必要があると思うものであります。その手だてについて教育長のお考えをお伺いいたします。  〔教育田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 小学校におきますスポーツ活動の実情と対策についてお答え申し上げます。 本県におきましては、小学校のスポーツ活動を学校教育活動として位置づけておりまして、四年生ごろから実施しておるわけでございます。文部省の通達によりますと、小学校の対外運動競技は、年に一回隣接市町村程度が基準とされておるわけでございますが、各競技団体を初めいろいろな団体が主催する学校教育活動以外の競技会が増加しておりまして、最近では全国規模の大会も含め、かなりの数に上っておるわけでございます。 こうした大会への出場が過度になりますと、高い競技力を求める余り、指導もおのずから偏りがちになりまして、健康問題等を生ずることが心配されるわけでございます。競技会で勝敗を競い、その厳しさを知り、また指導者や仲間と感激を分かち合う姿はとうといものではございますけれども、小学校高学年の時期は、児童の身体的発達が著しく、身体機能が不完全な状況でございますため、過度の練習や競技は健康を阻害することなども懸念されるわけでございますので、このような特性を踏まえた指導が必要であるというふうに考えております。 小学生のスポーツ活動は、その活動を通して協調性、社会性を培いますとともに、多くの種類のスポーツに親しむことによりまして、生涯スポーツの基礎をつくることに意義があるというふうに思っております。また競技力につきましても基本技能の習得に力点を置きまして、将来のスポーツ活動の基盤づくりを目指すことが大切であるというふうに考えております。 県教育委員会といたしましては、以上申し上げましたような考え方に立ちまして、クラブ指導者講習会や地域における研修会等において、学校のほか家庭、競技同体に対しましても理解を求めておりまして、さらに今後は、PTA研修会等の機会も活用いたしまして、小学校スポーツ活動の正しいあり方についての指導を深めてまいりたい。また来るべき国体にも対応できるようにしていきたいというふうに考えております。  〔久保立明君登壇
    ◆(久保立明君) 御答弁ありがとうございました。教育長も答弁の中で、小学校の対外運動競技は年に一回隣接市町村程度が基準とされているが、学校教育活動以外の競技会が多くなって高い競技力を求められ、指導も偏りがちで、小学校児童の身体的発達から健康問題等を生ずることを心配されておりますが、私もそのとおりだと思います。私も、小学校においては基本的技能の習得に力点を置き、将来のスポーツ活動の基盤づくりに重点を置いた部活動の指導を望むものであります。小学校スポーツ活動のあり方についてあらゆる機会をとらえて理解を求めていくというお考えでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げておきます。 全質問を終わるわけでございますけれども、執行部及び県議の先生方、長時間にわたりまして御協力いただきましてまことにありがとうございました。これをもちまして私の一般質問を終わります。(拍手) ○議長(米原賢士君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十二分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時二分開議 ○副議長(古閑三博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 本田良一君。  〔本田良一君登壇〕(拍手) ◆(本田良一君) こんにちは。ただいま登壇をいたしました日本社会党の本田良一でございます。質問通告に従いまして質問をさせていただきます。 まず県の魚について、つまり県魚についての質問をしたいと思います。 私は現在農政常任委員でございますが、この前は経済常任委員をやっておりました。このとき、六十三年三月十九日の第八回経済常任委員会において、産業振興を目的とした県の魚、つまり県魚の指定をされたらどうかと提案をいたしました。ところが、本年八月五日、熊日新聞に「「県の魚」を決めよう 全漁連が意向調査 熊本の候補はクルマエビ」という記事が出たのであります。私は、この記事に驚きつつも、積極的に本会議で提案してみようと決心したところであります。 このアンケートの結果は、全国漁業協同組合連合会、つまり全漁連の雑誌「くみあい」に詳細に発表され、その分析がなされていますので紹介をいたします。  アンケート調査結果概要  すでに皆さんもご承知のように「県の木」「県の花」「県の鳥」は全国的に選定され、それぞれ社会的にも定着している。たとえば日本で代表的な年鑑である「朝日年鑑」の「都道府県要覧」の項をみても上記三種は全県にわたって記載されている。しかるに、われわれと切っても切れない縁にある〝魚〟については全くふれられていない。  水産大国であり、海洋国であり、また素晴らしい魚食文化を持つこの日本に「県の魚」が定着していないのはなぜだろう。日本人なら誰でも、こんな疑問をもっても不思議ではないだろう。  そこで、編集部としては漁協系統が「県の魚」という発想に対してどう受けとめているのか、これからの対応についてどう考えているのか、を知るために、極く簡単なアンケート調査を実施することにした。設問。  「県の魚」を選定していますか?  すでに「県の魚」を選定しているのは四十七都道府県のうちわずか三県(六・四%)というのが現状である。この三県は、これが出たときにはまだ高知が指定をしておりませんでしたけれども、その後六月末に高知がカツオを指定しておりますから四県になっております。  では、制定の年次にしたがって、魚種名や選定理由などを簡単に紹介していくこととする。  「県の魚」としてもっとも長い歴史をもっているのが沖縄県のタカサゴ(グルクン)で、沖縄名がグルクンですね。  昭和四十七年五月、祖国復帰実現を機に制定されており、十五年以上の歴史を誇っている。  選定の理由は、①年間水揚量が多いこと、②品質が優秀であること、③住民に広く親しまれていること――が挙げられている。  沖縄県に遅れること十五年、昨年、和歌山県と青森県で相次いで「県の魚」が制定されている。  まず、六十二年六月、和歌山県でマグロが選定された。その理由は、①県民によく親しまれていること、②県下漁業者の漁獲高が多く、全国的にも上位に入る、③和歌山県のイメージに合致していること。  同年七月には青森県でヒラメが、①昭和六十二年から全国にさきがけてヒラメの栽培漁業化が開始された、②ヒラメは栽培漁業を代表する魚種である、③ヒラメの生産量は全国のトップクラスにあり、同県すべての沿岸海域で漁獲される――ことを理由に、同県の「栽培漁業元年」の宣言とからめて選定された。  「県の魚」を選定しているが以上三県だけというのはいささか寂しい感じがしないでもないが、残る四十三都道府県では今後の対応についてどう考えているのだろうか、次にこれをみていこう。先ほどの三県も、これは高知が入りまして四県でございます。設問。  「県の魚」について検討していますか?  何らかのかたちで「県の魚」の選定について検討をしているのが四十三都道府県中六県(一四%)で、残る三十七都道府県では今のところ検討されてはいない。  現在検討中と回答してきたのは山形・岐阜・兵庫・岡山・香川・高知の六県で、候補にのぼっている魚種は表1のとおり。となっておりまして、山形がマダイ、岐阜がアユ、兵庫がイカナゴ、岡山がサッパ、香川がサワラ、高知がカツオほか多数と、こういうふうなことですね。  この六県のなかでも岡山・高知の両県は本年末を、香川県は六十四年には何とか「県の魚」を選定したい、とスケジュールもかなり具体化してきている。ここでは高知はもう決定をしております。  しかし、検討のネックがあるのは当然のこと。アンケートの回答から抜粋してみよう。  「本県は瀬戸内海と日本海の両方に面し、獲れる魚種も全く異なるため、県の水産を代表する魚種の選定が難しい」としておりますのが兵庫県。  「選定方法および予算面でまだ不確定の部分がある。また、他県と重複する可能性があるので心配」というのが香川県。  「高度回遊魚の場合、他県との競合・重複が考えられること。また、ローカル色を出せば各地区の思惑がからむこと」これが高知県でありましたけれども、これを克服して選定をしております。  などがあげられており、われわれが「県の魚」の選定について考えるとき、すぐ頭に浮かんでくる心配がやはり現実の検討のネックとなっているようだ。  さて、それでは現在、「県の魚」について未検討の都道府県は今後にどのような展望をもっているのだろうか。設問。  「県の魚」選定について考えますか?  未だ検討に入っていない三十七都道府県の今後の対応について、アンケートの選択肢の順にみてみよう。  「すぐにでも選定について検討をはじめたい」と積極的な姿勢を示しているのが徳島県、「時間はかかっても将来的には選定したい」と意欲をみせているのが、岩手・宮城・三重・鳥取・大分・熊本・鹿児島の七県。  各県とも水揚量の多い魚種、それも全国的に上位を占めるものや伝統的なイメージをもつ魚種をそれぞれ今後の候補として予想しているが、一方では検討のネックとなるであろう点についても次のような事項があげられている。  「他県との魚種の重複・競合が心配」(三県)、「現在、多量に水揚げされる魚種でも資源量の変動が大きく将来も水揚げがあるか不安」「県下すべての地区を代表する魚種の選定が困難」(各二県)、「生産量の多い魚種はあるが単価が低くイメージ的に不利」(一県)。  こうしてみてくると、現在検討を進めている県でネックとなっている点とこれから検討を進めようとする県が予想するネックとはほぼ一致しており、問題点は浮き彫りにされたといってよいだろう。すでに「県の魚」を制定している県でも多分、同じような難問を抱えながらもこれを何とか解消してきたのだろうから、問題点の所在が明らかとなった以上、漁協系統、関係者の知恵を結集すれば解決の道は開けていくのではなかろうか。以上が県魚指定に関するアンケート結果でございます。 次に、もう少しこのアンケートで調査しましたところの県魚を指定した四県と現在その指定に向け検討している一県の指定に関する理由やその方法について簡単に紹介をしてみます。 県の魚、和歌山県。県水産課からの呼びかけによってこの選定をしたということであります。特にその募集の内容は、  二十一世紀を目ざした水産業の振興と魚食普及をイメージさせる和歌山県のシンボル魚を募集します。 1 要件   和歌山県でとれる魚(貝、エビ、力二、クジラ等も含む)。   県民に親しまれ、本県のイメージに合ったもの。 2 応募方法   ハガキに魚名、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を書いて、四月二十日から五月二十日までに県水産課へ。   一人何点でも応募できます。審査の選考基準でありますけれども、  ①生産量が相対的に多い魚  ②姿、色、味が良く県内での知名度が高い魚  ③和歌山県の沿岸または内水面に生息している魚  ④将来にわたり増養殖の推進可能な魚  ⑤魚食普及の推進に役立つ魚  ⑥和歌山県水産業のイメージアップにつながる魚こういうものがこの選考の基準となりまして、一応たくさんの応募があったけれども、この中でマダイと和歌山のマグロ、この二つに絞ることは簡単であったと。ところが、この二つから絞るのに大変であったと言っております。それはもうかんかんがくがくやりまして、ちょうど和歌山県の水産祭りがあるので、これに間に合わせるために最終的に決定をしたのがマグロであったと。  県知事名で公告、県の広報紙「県民の友」でもこれを広く報道した。と。大変好評で今のところ問題はないと言っております。 それから、青森県の魚、ヒラメについてですけれども、  青森県では昨年、「海の記念日」である七月二十日にヒラメを「県の魚」として告示した。これは沖縄のタカサゴ、和歌山のマグロに次いで全国で三番目の「県の魚」。  青森は昭和五十一~八年の間、ヒラメの水揚げ全国一位。五十九、六十年に福岡、長崎に抜かれたものの全国で第三位の地位を保っており、六十一年は水揚げ量七八一トンで全国第二位となっている。また、ヒラメの栽培漁業化は六十二年度より開始されている。  同県水産部では「県の魚」制定の趣旨とヒラメを選定した理出を次のとおり発表している。 1 「県の魚」制定の趣旨   二〇〇カイリ時代の水産業において「つくり育てる」漁業の確立が強く要請されている現状に鑑み、(社)青森県栽培漁業振興協会の設立を機に、昭和六十二年度を「栽培漁業の元年」と位置づけ、漁業者の意識の高揚を図り、水産業の振興に資するため、県民の象徴として「県の魚」を制定するものである。 2 「県の魚」を「ヒラメ」とする理由  ①栽培漁業の元年となる昭和六十二年度から「ヒラメ」の栽培漁業化が開始されたこと。  ②「ヒラメ」が栽培漁業を代表する魚種であること。  ③本県の「ヒラメ」の生産量が全国のトップクラスであること。以上であります。 沖縄県のタカサゴにつきましては、選考理由といたしまして、 1 年間水揚量が多いこと。 2 品質が優秀であること。 3 周年漁獲され、生産量は年々増大しており、本県沿岸漁業の主要魚種である。 4 沖縄独特の追込網漁業で大部分が漁獲される。 5 沖縄の海を連想させる美しい色彩をもっており、味も良好である。 6 タカサゴは沖縄では数少ない大衆魚として、沖縄の代表的調理法である刺身、汁物、煮つけ、から揚げ等により広く県民の食卓に利用されている。 7 県民に広く親しまれていること。七点を挙げております。 次に、一つ変わっておりますのが佐賀県のムツゴロウであります。この佐賀県のムツゴロウにつきましては、同会の発起人は、佐賀観光協会副会長あるいは国会議員、県内七市長、県議を初め、経済界、農水産、文化、教育など各界の代表が名を連ねて、ムツゴロウを選定する発起人会をつくっております。  県魚指定のねらいは第一に激減するムツゴロウの保護・育成だが、同会発行のビラによるとさらに次のような波及効果も期待されている。 ①「県魚」に指定しても、「天然記念物」ではないのだから食は自由だし、むしろ県外からの観光客への食事に、県の代表魚として進められる。 ②教育・情操面では河川や海浜の浄化と生物愛護の気持ちを育てることにつながる。 ③「県魚」指定は県外にも話題をまくであろうし、佐賀の知名度アップにもつながると思われる。以上のことで、県魚の指定をムツゴロウに今運動を進めているということであります。ここで特に注目すべきことは、選考理出が、ムツゴロウの保護、育成を目的としている点であります。 さて、以上のアンケートの結果内容から、県魚の指定においては、産業振興、つまり水産振興がその趣旨の精神をなしているということであります。そしてその最大の要素となるものが漁獲高及び生産量であります。このことを県魚指定の重要な要素として押さえておく必要があります。なぜならば、今日までほとんどの県が決定しているところの県木、県花、県鳥における指定理由とは異なっているからであります。 それでは、この三つの指定についての理由を見てみます。 県木の指定につきましては、  「県木」(郷土の木)は、毎日新聞社が昭和四十一年十一月、国土緑化推進という趣旨から「緑の日本復活」を標語として提唱し、各都道府県に生まれた指定委員会が候補の木をあげ、住民の投票などできめられたもの。  これら選定された「県木」は記念のため、昭和四十三年、各県三本ずつ皇居付属庭園に植樹された。 それから県花につきましては、  「県花」の選定は、植物趣味と植物愛護の精神を目的とし、あわせて地方文化ならびに郷上愛の高揚をはかるため、昭和二十九年二月、社団法人・日本植物友の会が口火を切って、NHK、日本交通公社、全日本観光連盟の四者が共同主催となり、文部・農林の関係各省、都道府県、当時の国鉄、地方有力団体などの協賛のもとにおこなわれた。  「県花」選定の基準は、郷土の範囲を都道府県単位とし、 ①郷土の誇りとする花 ②郷土の人びとに広く知られ愛されている花 ③郷土の産業、観光、生活などに関係の深い花 ④郷土の文学、伝説などに結びついている花 ⑤その地方に見られる珍しい花となっております。 県鳥。  林野庁の提唱により、昭和三十八年三月に従来の「狩猟法」が「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に改正されたのを機に、都道府県は鳥獣保護に関する施策の総合計画化をはかることになり、その一環として「都道府県の鳥獣」を住民の投票によって決定した。としております。 特に、皆さん方がなじみの深い熊本県におきまして、県の木 クスノキ 昭和四十一年十月 県内のいたるところの神社や寺院に巨木が見られ、郷土の歴史や文化に深いつながりをもつ。  鳥 ヒバり 昭和四十一年十月 県内一円にみられ、広く県民に親しまれ、農業県の熊本を象徴している。  花 リンドウ 昭和二十八年十月 NHK選定 県内の高原に多く自生している。NHKが全国的に「郷土の花」を選定した際に選ばれたもので、一般に県の花として通用している。  効果  1 県及び市のイメージPR  2 話題の提供、普及効果  3 対象生物の保護、保全ということであり、以上で御理解いただけましたように、いずれも自然保護精神と美化をその重要な要素としております。よって、一部観光面での活用はあったにしても、これを直接大量に捕獲、生産、売買するということは到底考えられない要素から指定されております。そうしますと、県魚の指定は、従来からの指定概念と全く異なった概念を持って決定をしなければなりません。 それでは、いよいよ本県の県魚の指定について御提案しますが、まずその環境面を少し整理しておきたいと思います。 まず、本県は全国有数の水産県でもあり、先般全国総合文化祭が行われ、熊本に多くの一万数千名の全国からの高校生が集まりました。ところが、有明海に浮かぶ大小の島々から成る大天草を、長崎県ではないのかと言っている学生もいたようです。熊本県には内陸にも匹敵する規模の天草があり、有明海は天草のものと言っても過言ではないでしょう。これだけの海を誇る水産県熊本が、どうしてさきの高校生のような知識になってしまうのでしょうか。 水産県の証明としてもっと具体的に例を挙げますと、細川知事の日本一づくり運動の中で、水産業については、水産庁が指定をした明日に挑む農林水産基地づくりとして、沿岸・近海地域で新しい技術を使ってつくる漁業を振興する海洋牧場構想、マリノベーション構想、六十年九月、不知火海地域指定があります。 なお、六十一年度において水産物生産量日本一は、ハマグリ千百八十九トン、全国の五三・五%、養殖クルマエビ八百六十五トン、全国の三五・五%があります。また、特に牛深の西岡先生が生産をしておられます天草のタイでございますけれども、これは天然ものが、六十一年生産量が千二百三十三トン、生産額は二十五億八千百万円であります。養殖のタイは五千七百二十五トン、七十六億五千八百万円であります。 以上のとおり、一部具体例でもおわかりいただけましたとおり、指定の要素は整っていると思います。まして天草に空港が整備されますとますます全国の人が集まることになります。そうした将来に先駆け、より熊本県を水産県と印象づけ、水産振興に寄与するため、本県の魚の指定を御検討されたらいかがでしょうか。 アンケートの中にありました具体的問題点の中の「他県との魚種の重複・競合が心配」特に、「現在、多量に水揚げされる魚種でも資源量の変動が大きく将来も水揚げがあるか不安」等がありますが、これらの問題点にそうこだわることなく、指定に踏み切られたらいかがでしょうか。全国的にも多くの県が指定に踏み切る時期がそこに来ております。特に私は他県に越されないうちに、日本人が食べる魚で特に代表される魚をいち早く指定しておくべきと思います。なぜなら、後世になって産業性のない状態になってから魚を、県木、県花、県鳥の趣旨で指定することのないよう、魚をこのような形で指定することのないよう念願するものであります。 次に、指定の方法でありますが、全県下募集による指定がよろしいかと思います。こうすることで本県民自身に本県が水産県であることを印象づけることにもなろうと思います。関係部長の御答弁をお願いいたします。  〔林務水産部長藤門豊明君登壇〕 ◎林務水産部長(藤門豊明君) お尋ねの水産振興に寄与するための県の魚の指定についてお答え申し上げます。 県の魚の選定につきましては、ただいま詳しくお話のあったとおりでございまして、これまで全国四十七都道府県のうち、四十七年には沖縄県、昨年が和歌山県と青森県、ことしになりましてから高知県のその四県が選定を行っております。 選定に当たりましては、生産量が比較的多く、県内の広い海域で漁獲され、県民に広く親しまれていることなどを基準にしたと聞いております。 本県で水揚げされます魚介類で全国のトップクラスにあるものといたしましては、マダイ、ヒラメ、クルマエビ、ハマグリなどがあります。また、本県には有明海、不知火海、天草西海の三つの海域及び内水面のそれぞれに特色ある漁場がありまして、これらの漁場から生産される魚種も異なっております。 県を代表する魚の選定ということになりますと、いろいろ検討すべき問題点もあると思われますが、貴重な御提案でありまして、さらに県魚の選定が水産振興上寄与することが期待できると思われますので、選定についての考え方や県民からの公募など、選考方法などにつきましても県漁連など関係団体とも相談しながら、今後検討を進めてまいりたいと考えております。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) どうも積極的な御答弁をいただきましてありがとうございました。今後ますます、今も水産部の方においては大変御努力をいただいておりますけれども、さらにこういう県魚指定などで活性化をしていただきますと結構じゃないかと思っております。 それでは、一市四町の合併請願問題について質問をいたします。 これは、先般の自民党の村上県会議員が既に質問をされまして知事さんからも既に回答をいただいておりますけれども、私は、答えは先般村上先生に答弁があったものと案外一緒でもいいんです。なぜかといいますと、実は、これは現状――この四町が熊本市に請願を出しましたこの背景を、今回の議会では一応明らかにしておくということであります。これをやった後、今後市議会の方からまたいろいろな形で結論が出ると思います。その後また質問をさせていただきます。 それでは、内容を明らかにする質問をいたします。 一市四町、つまり熊本市を中心とした北部町、天明町、河内町、飽田町の合併請願問題について質問をしますが、前もって誤解のないよう申し上げておきます。私は、この議会で、県としてこの一市四町の合併問題を直ちに推進されるよう努力されることを願って申し上げるものではありません。なぜなら、それを論議する県の段階ではないからであります。しかし、熊本市とこの四町は、熊本県の県都とこれに抱きかかえられた地域であります。そのため、今は熊本市へ請願書が提出されたという段階なので全く無関心でいればよいということにもならないと思います。特に、その請願に至るまでの経過とこれを提出したところの四町の人口その他の動態は、県としても押えておく必要があろうかと思います。 まず四町は、熊本市に対して合併請願書、陳情書の提出を次のように行っております。北部町、昭和六十三年五月七日、河内町、六十三年八月十七日、飽田町、六十三年八月十六日、天明町、六十三年八月二十六日。その後新聞にいろいろな形で出ました。「飽託三町 今月中に合併請願」「河内町も請願書」「天明町も合併請願」「合併で北部町の現況説明」といろいろ出ております。 そして、この請願書の内容でございますが、熊本市議会へ提出されたものを紹介してみます。これは生のままお読みいたします。このことが、一番この四町の背景を如実にあらわすものと思いますから読ませていただきます。 一、要旨  熊本市編入合併を請願いたします。これは飽託郡北部町熊本市編入合併に関する請願書であります。 二、理由  本町は昭和三十年七月一日西里・川上両村が合併し、北部村として発足、昭和四十三年四月に北部町に町制施行し、昭和四十五年頃より、熊本都市圏の発展により、ベットタウン、商工業の進出によって、人口も今や一万七千百二十七人となり、第三次産業が五四・二%を占める都市型の町となっています。  熊本市北位で最も近隣にあり、生産圏も全く一緒でありその境界線も見極め難い環境です。  又、行政的にも、ごみ、し尿、消防などは熊本市に委託しており、ふれあいの森、下水道などは広域事業で取り組んでいます。更に熊本市の飲用水の一部は北部町内から供給し、ごみの最終処分場は町内釜尾に持たれている現状にあります。  このような状況でありますので町民の熊本市合併の熱意は強く、将来の福祉、経済の向上のため、貴市への編入合併は町民の願望するところであります。  昭和六十年頃より町内及び駐在員会より、町議会に対し貴市合併の要請がなされ、昭和六十一年三月二十四日町長議長連盟で貴市長、同議長に合併促進の陳情を行っていました。  また、本年三月定例議会に於いて、合併促進の議決がなされている現状でございます。  かかる事情を御賢察のうえ、一日も早く貴市への編入合併が実現できますよう請願いたします。西村議長殿、緒方町長ですね。  河内町の熊本市編入合併に関する請願書 一、主旨  熊本市編入合併を請願いたします。 二、理由  本町は、昭和三十一年九月三十日河内村・芳野村が合併し河内芳野村として発足、昭和四十五年四月河内村となり同時に河内町に町制施行し今日に至っております。  当時は、ほとんどの町民が農林水産業を営んでいましたが、近年急速に熊本市圏への通勤通学者が増加しその他についても町の大多数の世帯が熊本市へ何等かのかかわりを持つようになってまいりました。  又、行政的にも農業共済・し尿処理・消防及び保健衛生等熊本市へ委託しております。  熊本市民の憩の場でもあります金峰山は、本町の行政区域のなかにあり過去に市と町が共同して各種の整備事業を行った経緯もあります。  このような状況でありますので町民の熊本市合併への熱意は強く将来の福祉経済向上のため、貴市への編入合併は、町民の願望するところであります。本年三月定例町議会での一般質問でも市合併問題が提言されそのことをふまえて町議会をはじめ町内各種団体役員との協議を重ねながら去る五月十四日全世帯を対象に市合併に関する意識調査を実施いたしました。その結果は大多数の町民から賛成の意志表示が寄せられた次第であります。  また、六月定例町議会において市合併特別委員会も設置され同時に熊本市合併促進の決議がなされました。  かかる事情をご賢察のうえ一日も早く貴市への編入合併ができますよう請願いたします。これも請願で西村議長となっておりますが、飽託郡河内町長嶋津俊二さんですね。 それから、飽託郡飽田町の熊本市合併に関する請願書 一、要旨  熊本市編入合併を請願いたします。 二、理由  本町は、昭和三十年四月一日八分字、藤富、並建列村が合併し、人口も昭和四十六年都市計画区域指定を契機に徐々に増加し、昭和六十三年六月末現在で一〇、一八六人になっています。又昭和六十年国調によると熊本市への通勤、通学依存率は、熊本都市圏で最も高く、五二・三%で今日では熊本市のベッドタウン化が進んでいます。  行政もゴミ、し尿、消防などについて、熊本市へ業務委託しており行政も生活も一体化している現状であります。  さる六月二十五日から七月十日にかけて町内十六地区の熊本市合併に関する説明会を開催しましたところ、町民の熊本市合併にかける熱意は強く、一日も早い合併を望んでいます。  また、本年六月定例議会に於いて、合併促進の議決がなされて町執行部、議会、町民一体となって熊本市合併の早期実現を願望している現状でございます。  かかる事情を御賢察のうえ貴市への編入合併が実現できますよう請願いたします。岡田健士。  飽託郡天明町の熊本市編入合併に関する請願書  理由  本町は、昭和三十一年九月三十日に旧六ケ村が合併し天明村として発足し、昭和四十六年四月に天明町として町制施行いたしました。以来、熊本市の西南玄関口として隣接し、町の中央を県道主要地方道大牟田・熊本・字土線が縦断する都市近郊農村として発展し現在に至っております。  また、現在熊本県が建設を進めております熊本新港にも近隣に位置し、行政としてもごみ処理、広域消防などは熊本市に委託している状況にあり、教育・文化・医療など日常生活のすべての面において密接なつながりをもっております。つまり、熊本市を抜きにしては本町の将来の展望を語ることは出来ません。  さらに、最近熊本市の発展は市南部に進展し、熊本流通団地の建設など重要な計画が進行中であり、本町は近い将来熊本市のベッドタウン的な役割を果たすものと予測します。今後、行政の複雑多岐、多様化が急速に進む中で小規模自治体による行政の運営は容易ではありません。このような状況でありますので、将来の福祉・経済の向上のため、貴市への編入合併は町民の願望するところであります。という趣旨で、四町は合併請願を提出しております。 では、提出までの経緯と町民の合併に対する意思決定状況を見てみます。  北部町。昭和六十年六月十九日、熊本市合併調査委員会の設置、昭和六十一年三月十九日、合併促進議決、昭和六十一年三月二十四日、市長、市議会議長あて合併促進についての陳情書を提出、昭和六十二年九月二十五日、熊本市合併特別委員会を設置、昭和六十三年五月七日、合併請願書、合併陳情書を提出。  河内町。昭和六十三年五月十四日、町内全世帯を対象にアンケート調査を実施、昭和六十三年六月十日、熊本市合併特別委員会を設置、昭和六十三年六月十三日、町長、町議全員で熊本市長、市議会議長を表敬訪問、昭和六十三年八月十七日、合併請願書、合併陳情書を提出。  飽田町。昭和六十一年六月二十日、町内全世帯を対象にアンケート調査を実施、昭和六十二年十二月二十三日、熊本市合併特別委員会を設置、昭和六十三年三月二日、町長、町議全員で熊本市長、市議会議長を表敬訪問、昭和六十三年八月十六日、合併請願書、合併陳情書を提出。  天明町。昭和六十一年十二月十日、町内全世帯を対象にアンケート調査を実施、昭和六十三年六月十四日、熊本市合併特別委員会を設置、昭和六十三年六月二十日、町長、町議全員で熊本市長、市議会議長を表敬訪問、昭和六十三年八月二十六日、合併請願書、合併陳述書を提出。特に、この河内町と飽田町、天明町のアンケート調査結果でございます。 河内町。昭和六十三年五月十四日、全世帯二千六十四世帯、回収率七八・三%、千六百十六世帯、合併賛成七二・八%、千百七十七世帯。 飽田町。昭和六十一年六月二十日、全世帯二千五百九十世帯、回収率五八・四%、千五百十三世帯、合併賛成八二・〇%、千二百四十世帯。 天明町。昭和六十一年十二月十日、全世帯二千五百四十世帯、回収率七七・三%、千九百六十三世帯、合併賛成五八・三%、千百四十六世帯。 次に、請願の理由にもありましたところの、合併で最も重要となる合併をしようとする町とこれを受けようとする市の関係はどうかを調べてみますと、次のような関係であります。 世帯数は先ほど言いましたから、面積からいってみましょうかね。面積、北部町二十九・五二平方キロメートル、河内町三十四・四一平方キロメートル、飽田町十一・七四平方キロメートル、天明町十九・二八平方キロメートル。農業粗生産額は、北部町四十億八千五百万、河内町が三十八億八千二百万、飽田町二十六億三千三百万、天明町四十億六千百万。それから財政規模、北部町三十億二千三百万、河内町十八億六千七百万、飽田町十八億四千三百万、天明町十八億六千二百万。それから地域指定の状況でございますけれども、北部町が新産業都市建設促進法を受けております。また工業再配置促進法を受けております。熊本テクノポリスの指定を受けております。河内町、これが新産業都市建設促進法を受けております。それから工業再配置促進法を河内も受けております。それから辺地特別措置法を受けております。飽田町は、新産業都市建設促進法と工業再配置促進法、熊本テクノポリスを受けております。天明町は、新産業都市建設促進法と工業再配置促進法、それから熊本テクノポリスの指定を受けております。 それからもう一つ、北部町、これは町外からの転入者数は、熊本市から転入をしている人が六百七十六人、河内町が七十一人、飽田町が二百六十九人、天明町が百十二人。それから町外への転出。北部町、熊本市に転出をしている人が三百六十五人、それから河内町八十五人、飽田町が百九十人、天明町が百二十五人となっております。それから熊飽農協に合併をしているのが、熊本市と飽田と天明と河内です。熊飽農業共済組合は、これは四町とも市と一緒であります。以上であります。 それからもう一つ、推進中の都市圏関係の事業が、ふれあいの森林整備事業、北部流域下水道整備事業、総合都市交通体系調査、パーソントリップ調査ですね。それから市街地整備基本計画策定、震災対策基礎調査、熊本都市圏青少年健全育成連絡会、このようなのは一緒であります。このほか、これは既に私が熊本市議会にいるとき実現させたのでありますが、熊本市を中心とした一市十四町一村、西原村までの電話番号三けた化が実現しております。今回の請願四町も入っております。 以上のように調査してみますと、大変この結びつきは深く、合併請願書が四町より提出されるに至った根拠が、時代の流れとして受け取られるのであります。 それでは、これを受けようとするところの熊本市長及び熊本市議会はどういう態度にあるかということでございます。まず、熊本市議会を代表する西村議長は、総合都市調査特別委員会で慎重審議したいと言っております。また田尻熊本市長は、議会での討議をまって対応していきたいと言っております。そして議会では合併請願を来年採択をされる可能性が強いようであります。 では、これに対して県はいかなる対応をするのかでありますが、今のところいかなる対応も必要ないようです。ただし、熊本市と四町の議会より議決をされて県に上がってくることになりますと、地方自治法第二百五十二条の二、合併特例法第十二条第一項により協議会の設置をやることになります。これより県知事に届け出となります。ここにその合併手続のフローチャートを持っておりますが、法的にも複雑なようであります。 これをもって合併に対する熊本市を中心とした四町の合併請願の背景と経緯については終わることとしますが、大変唐突な質問で申しわけありませんけれども、知事として県都である熊本市を中心とした四町の合併問題についての考え方はいかなるものか、お尋ねをいたします。 以上です。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 熊本市を中心とした合併問題についてのお尋ねでございますが、その背景と経緯につきましては今大変詳しくお話がございましたとおりでございます。関係の町当局や議会から、市あるいは市議会に対しまして陳情・請願がなされていることもよく承知をいたしております。 先日の村上議員のお尋ねにお答えをいたしましたように、今回の合併問題につきましては、地元におきまして広い視野から十分な論議をしていただきたいと考えておりますが、一般論として申し上げるならば、市町村が合併によってその規模の適正化を図り、あるいは事務の効率化なり住民の福祉増進を目指すことはもちろん望ましいことであると考えております。しかしながら合併は、先般も申し上げましたように、当該市町村や地域住民の生活はもとより、周辺市町村などさまざまな方面に大きな変化をもたらすものでありますし、その効果や影響などについて事前に十分論議がなされることが必要であると、当たり前の話ですがそのように考えているわけでございます。 また、お話がございましたように、今回の合併問題は県都である熊本市を中心としたものでございまして、県土の均衡ある発展という観点なりあるいはシナリオで示しております熊本都市圏整備の方向を踏まえた検討、論議をしていただくことを期待いたしているところでございます。 なお、先般の村上議員に対する私の答弁についての一部の報道をごらんになって、私がこの合併に対して懸念を表明したように受け取られた向きもあるかもしれませんが、私はあくまで地元での論議の推移を見守りたいと申し上げたのでありまして、今後とも地元での十分な論議が尽くされるように期待しておりますということを再度申し上げておきたいと思います。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) どうも知事さんの答弁ありがとうございました。これで熊本市の合併関係のお方も安心されると思います。どうもありがとうございました。 それでは、教師の言葉の乱れについて質問をいたします。 あともう一つあるんですけど、どうもこれはまた大分はしょらぬといかぬようでありますから、急いでいきます。 たしか五十九年六月六日であったと思います。「海は広いな大きいな」という歌がありますが、「海は広いな大きいな 当たり前」なるほど海が広いということは当たり前であります。余りにも理にかなっていてユーモアに富んだ替え歌なので、つい噴き出してしまいます。 次に、単語に移ってみましょう。うるさいを「うるしゃあ」、もう少しを「もういち」、けんかをすることを「たいまんはる」、警察を「まっぽ」これは大変です。これは麻薬用語です。このような言葉が使われているということは、だれか麻薬にでも冒されているのでしょうか。先生を「先公」、万引きを「ぱくる」、横着を「ちゃっか」、一つもおもしろくないを「しけつ」、ふざけているを「たわけちか」、ガンをつけるを「ガンとばしかり」。 皆さん、これは何と思われますか。初めのは熊本市の小学一年生が歌っていた替え歌です。これは悪い言葉の例ではありません。大人顔負けのすばらしい替え歌の感覚を持っているという例で引用いたしました。つまりマスメディアにすばやく順応するという例であります。ところが、次に申し上げました単語は、大変隠語めいた言葉で聞く者に汚さを感じさせます。小中学生が特に日常の、あるいは学校で生徒同士が会話のとき使う簡略語です。時代とともに移り変わる隠語の一種と思います。私たちが小学校のころもありましたが、上級生から中学生、また村の青年たちが使っていました。例えば、びんたを打つを「たびんをつうぞ」といった話し方もあったようです。よって、今小中学生間で使われている隠語も、いずれ時代とともに消滅していくことでしょう。もし幾つか残ったとしても、いずれ国語審議会が国語を整理するときに駆逐されることと思います。しかし、私はそこまでいかないうちに美しい言葉に早く浄化されるよう希望をいたします。 これを浄化するには、常に美しくきちんとした国語が、言葉が教育現場で使われているかにあると思います。あるとき先生が生徒に呼びかけ、話された言葉を聞いて驚きましたんですが、「お前は何ばしょっとか。ぐずぐずすんな。急がんか」と、まあこういった言葉遣いでした。これを聞いて私ははっとしたのであります。ああ先生の言葉が汚くなったなあ。日ごろ家庭で親が子供に口にする言葉にもない言葉遣いで話しておられる。このような言葉が、教育現場でそれも教壇からも、また男女の関係なく使われているようであります。私は、いつもかつも教壇にいるときのように――教壇でも乱れがちでありますが、標準語でかた苦しく丁寧な言葉でとは申し上げません。しかし、それにしても本当に乱れているように思います。先ほどのような流行語も、授業が終わった日常の砕けた中で会話されるわけですから、教師の言葉は教壇をおりたときこそ最も大切であり、ここから、つまり言葉を大切に話すその態度あってこそ、このような生徒の乱れた言葉も直してやることができると思います。 国語の指導要領を開いてみますと、「第一 目標」「国語を正確に理解し表現する能力を高めるとともに、国語に対する認識を深め、言語感覚を豊かにし、国語を尊重する態度を育てる。」とあります。このまますべてその態度でとは申し上げません。教師の言葉が、普通家庭で親が子供に話す会話以下であっては困ります。なぜなら「中学校学習指導要領」「第三章 道徳」第二項には、「日常生活における望ましい生活習慣をわきまえ、それを身につける。」注釈として、「(身の回りや身近な環境を整え、時間や物などを大切にし、きまりのよい生活をするとともに、礼儀の意義を理解し、時と所に応じた適切な言動ができるように努める。)」とあります。この終わりの「礼儀の意義」を私は大切にしたいと思います。 これから大きくなるにつれ、そして社会へ、適切な言動ができないということは、その子供、青年、大人にとって大変な不幸であります。人間すべて言葉で感動もし、怒りもします。言葉が相手の心を動かします。その言葉を美しく丁寧に話す習憤を学校では身につけさせておいてもらいたいと思います。それには、まず先生の言葉からと今日痛切に感じております。先ほどの隠語のようなものは、家庭で聞きつけたらその都度親も注意しますけれども、ここで提案をしておりますのは、適切な言動ができる子供に育てていただくためにということであります。 私は、以前テレビで朝放送しておりましたハイジのドラマの家庭教師・ロッテンマイヤーさんが大変好きでした。ドラマでは、教師然とした一つも乱れない、そして言葉遣いは常にこちこちの国語でした。見る者皆さん嫌いだったと思います。しかし、ハイジたちの家庭にロッテンマイヤーさんがいなかったら――あの家庭の温かさ、美しさ、そして歴史ある名家だというものを表現しているものは、家や二頭立ての馬あるいは家具などでなく、あのロッテンマイヤーさんの威厳に満ちた言葉の美しい使い方にあったように思います。 学校もそうです。君たちは今学校で学んでいるんだという認識をさせるものには、先生の美しくも乱れのない言葉にあると思います。よって、学校現場での教師の言葉を美しくより温かいものとするため、行政としても、これから長い時間をかけてもよろしいですので、指導し、指導要綱でもおつくりになったらいかがかと思います。 そして、次のように教育長が答弁をされまして、長い答弁があるんですが、最後に「今後、ただいまの御質問の趣旨が生かされるように指導に万全を期し」たいと答えられました。これは、私が熊本市議会で五十九年六月六日に「教師の言葉の乱れについて」という課題で質問を行いました内容と当時の熊本市教育長の答弁でございます。ところが、その後、この質問をして数ヵ月後、熊日新聞に、言葉の乱れをなくすため、長崎県教育委員会がその指導書をつくるという記事が報道されました。早速私は手紙を書き、発刊に当たって送付していただくようお願いしましたところ、一年後、長崎県教育委員会教育長・伊藤昭六さんの名で送付されてきたのであります。これがその本でありますが――今あそこにあります。忘れてきました。この内容については後で一部紹介をしますが・・・・・。 私は、その後、この言葉の乱れに関する投書を拝読することになったのであります。それでこれをちょっと読んでみます。ちょっと時間が足りません。名前は省略をいたします。私は、投書に名前がないのはどんなにいいことを書いても受け付けないようにしておりますが、これは名前がありまして、入手しましたから紹介をいたします。  松永文部大臣閣下の日頃の御健勝を心よりお喜び申し上げます。私は何々住所、どういう仕事をしている者だと書いてあります。省略をして  年齢的にも商売柄からしても政治に口出しするにあまりにもおこがましい限りでございます。しかし、ただ年を数え休眠をむさぼるにはこれまたあまりにもむなしく思い、ここに文部大臣閣下にお願いする次第でございます。  お願いというのは実に小さなことでございます。  実は学校から国語が、礼儀が消えていく感じです。いや今や消えていると言っても過言ではないと思います。  このことはむしろ生徒より、父兄よりも先生そのものから消えている感じがします。先生は生徒達に日常の言葉、礼儀にしても家庭で使いふるまっている言葉作法よりも汚れた言葉や作法で接しています。  この態度は学校外でも同じです。人の家の敷居をまたいだ時もしかりであります。「今日は」「おじゃまします」の言葉すらなく、この言葉は人間が人間であるための、又そのふれあいの原点の言葉です。この言葉すらなく人の家の敷居をまたいでおられます。これでは生徒達が世に出るための面接などを経験して人生のスタートをきりましょうが、又成人式の時、初めて対面した者どおしがふれあうことになりましょうが、この二つのことが立派に出来るでしょうか。このことを見聞し、思うにつけ、〝教育の荒廃〟ここにありと思わざるを得ません。  戦後、先生の給料、地位というものは貧しい日本の国を象徴するかのようでした。しかし貴職政党および政府の御努力によりですから、これは私の党じゃないようですね。 先生の地位、中でも給料は日本でも高額者の位置を占めるに至りました。よって石川啄木の〝詩〟にありますように「衣食足りて礼節を知る」の言葉の意味を十分かみしめ、その実行に取り組んでいただかねばならない時代が来たようです。このことを時代が今切望しております。どうか先生の言葉を、礼儀を正してください。そのことが子供達の将来に立派に花を咲かせます。  よって政治的努力をお願いする次第であります。又テレビ等を通じて成人の日および卒業式の季節に正しい言葉、美しい礼儀作法という形で先生も親も子供達も勉強になるような報道をお願いします。  以上文部大臣閣下にお願いします。  ここに齢八十一才の老人が杖にすがるようにしてしたためましたところの乱筆乱文の一筆を置くこととします。と、こういうふうなことの内容であります。このような事例に相前後して触れることになります。私が、ある教師の言葉にはっと気づき、質問までするに至ったことが、より具体的問題としてさらに努力しなければとなりました。 では、さきの長崎県教育委員会の言葉の乱れに関する指導書の一部を紹介をすることとします。 まず、一冊は「育てようことば、そして心」となっております。それぞれの人たちの言葉に対する経験的考え方が収録されており、もう一冊は「豊かなことばを育てるために」となっております。この中で、特に「教師のことばづかい」というのがちょっと入っております。監修者のことばとか、特にこの中で、中学女子の生徒のことばが乱暴になったというくだりもあります。それから、いろいろ「方言」それと今先ほど申し上げました「流行語」こういうものをいろいろと挙げております。 それで私は、こういうことの流行語とか、ののしるときに先生が使う言葉、こういうことがだめだとは言っておりません。私は、今申し上げましたところの事例を教師の言葉の乱れと決めつけているのでもなく、また方言、流行語を使う教師の言葉を乱れていると決めつけているものでもありません。いずれにしても、これらは共通語を使う習慣、また言語環境がしっかりしていると、いずれ駆逐されるものであってそう心配する必要はないのでありますが、市議会の質問事例のごとく、先生が俗っぽい言い方で、生徒たちの家庭で普通の親子が会話する言葉遣いより以下の言葉にならないよう、そのことを願うものであります。 そしていろいろと「幼稚園、小学校、中学校及び、高等学校の教育課程の基準の改善について」とか「中等教育資料」「高等学校学習指導要領解説」こういうものをずっと見てみました。ところが、その内容を読んでみましたが、先生の言葉遣いに関するものはなく、生徒に対して言葉はどうあるべきかであって、生徒に対して先生はどう言葉遣いについて指導するかというものばかりでした。よって、本県としても長崎県教育委員会のような調査を行い、指導書をおつくりになったらいかがでしょうか。 ただ、長崎県のものも教師の言葉の実態については十分な内容がなく、生徒の言葉の乱れとしての実能把握の上での指導書でございますから、逆に生徒たちにアンケート、PTA等による聞き取り調査などをして、その教師の言葉の乱れの実態をつかまれ、その指導書をつくっていただきたいと思います。いずれにしても、教師そのものへ直接言葉の指導を行う対策をお願いしたいと思います。 以上で私、また例のごとくはしょってしまいましたけれども、御回答をお願いいたします。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 教員の言葉の乱れ、乱暴な言葉遣いにつきまして、ただいま詳しく指摘を受けましたけれども、教育に関係する者の一人として、恥ずかしく残念に思う次第でございます。教育に携わる者は、言葉の持つ重みというものを特に肝に銘ずべきであるというふうに思います。 道徳教育にいたしましても、教員と児童生徒の心の触れ合い、信頼関係が基礎とならなければならないというふうに思いますが、それは教員みずからの行動と言葉によるコミュニケーションによって培われるものであろうというふうに思います。学校生活で使う言葉は、単に共通語を使えばいいということではございません。方言であっても共通語であっても、心のこもった、教育者として恥ずかしくない言葉遣いに心がけることが、学校や教育関係者の責務であるというふうに思います。 言葉の指導書についての御提案があったわけでございますが、言葉は生き物でございまして、人々が生活の中でつくり上げていくものでございます。家庭内の言葉遣いは、両親の対話や親と子の対話、時には子供の乱暴な言葉遣いに対する親の注意などの積み重ねによってつくり上げられていくものではないでしょうか。 そのように、学校におきましても、校長や先輩教員が、後輩教員や新任の教員の言葉遣いに適切でない点があれば遠慮せずに指導をするなど、学校の内部教育力の回復が大切であるというふうに思います。学校での言葉遣いについてよい習慣をつくり上げようと心がけてきた学校には、教員と児童生徒の間にも心の通い合う言葉の文化が生まれているはずであろうというふうに思います。 このように考えますときに、教員の言葉遣いにつきましては、教員自身がその教育的意義をもっと自覚すべきでありまして、子供たちの心に響く言葉の実践者として努力すべきであるというふうに思っております。 御指摘の趣旨を前向きに受けとめ、今後、研修や会議などあらゆる機会をとらえまして、心のこもった言葉、子供たちの心に響く言葉遣いにすべての教員が心がけるよう指導してまいります。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) 教育長さんの前向きの御答弁ありがとうございました。私は、これはお世辞ではございませんけれども、本当に言葉がきれいだなと思っているのは知事さんの言葉ですね。それと教育長さんの言葉は本当にきれいと思っております。私もそうありたいと思っております。 それでは、残り時間少なくなりましたけれども、最後の質問をさせていただきます。県都熊本市の都市景観整備について。 二十一世紀を目前に、ついに日本の都市もヨーロッパにある都市像の形成に方向を定めたようであります。日本の都市は、今日まで都市景観という概念より遠く離れ、思い思いが経済性の追求のみで形づくられ、整備されてきたようであります。それがここに至り、熊本県においても県都であります熊本市は、昭和六十三年三月、熊本市都市景観基本計画を打ち出したのであります。よって、このことに対して質問をさせていただきますが、ここでなぜ熊本市が進める計画のことを本議会で取り上げるのかという御意見もあろうかと思いますが、熊本市の都市計画を十分県において御認識をいただくとともに、その計画により御協力をお願いしたいのであります。 さて、この熊本市都市景観基本計画でありますが、これを打ち出す前に、この「構想編」というものを学識経験者などより成る委員会で作成し、特に県と連携、協力によって実行していくとしております。この基本構想というのはこれくらいのものですね。(資料を示す)この基本構想の中身は、一応「シンボル性の強い熊本の空間特性や、個性的な地域ごとの特性を生かした景観形成のあり方を示すことで、二十一世紀へ向けた新しい活力と魅力あふれる都市づくり目指す」としております。そして熊本市都市景観基本計画が打ち出されたのでありますが、この基本計画というのはこれですね。(資料を示す) この策定に当たりまして、  熊本市の都市景観形成をすすめるにあたって  私たちの暮らしが、多様化・高度化するにつれて、都市に生活する人、訪れる人にとって、まちが美しく快適な空間であることが、今ほど強く望まれている時代はありません。  住みやすく、すごしやすいまちとは、魅力をもった場面が都市のいたるところに見られ、その中でふるまうことが人々にとって快適だと感じられることではないでしょうか。  都市景観は視覚的に都市を印象づける大きな要素であるとともに、それは都市の歴史・風土といった個性の表現であり、また、その都市の文化水準を表す都市環境の表情でもあります。  熊本市では、都市景観形成を市民と行政が、互いに知恵と力を出し合って取り組んでいかなければならないまちづくりの重要課題だと考え、全市民の協力を得ながら、積極的に推進していくことにしています。  都市景観の向上は、熊本のもつ地域性の発掘や、新しい都市文化の創造により、他都市には見られない都市イメージを育成していくことにほかなりません。  伝統・文化を大切にしながらも、時代の要請でもある情報化・国際化、あるいは高齢化に対応した景観形成を総合的に実施していくことにより、人が集まる魅力ある舞台づくり、市民の中でのわがまち意識の形成に役立つものです。  幸い、熊本には先人が守り築いてきたかけがえのない自然や歴史があり、それらを生かした景観形成によって、二十一世紀へ向けた新しい活力と魅力あふれる都市づくりを目指していきたいと思います。このように策定に当たって定義をしております。 その都市景観形成の基本理念というのは、一つが「景観と都市イメージ」「景観による都市の活性化」「景観は共有財産」である、「景観は市民の共同作品」である、こういうふうに位置づけまして、特にこの中の「重点地域景観形成計画」この中に「地区別景観形成計画」というのがありまして、これは、例えば熊本城のところはどうするとか、古町はどうする、あるいは上熊本地区はカラーボックスにしてそこの接続部分はどのような隅切りをやるとか、いろいろと詳しく図式化をしてやっております。 以上が、熊本市都市景観基本計画のほんの一部分の紹介でございますが、執行部におかれては十分熟知しておられ、詳細な紹介はこれをもって終わりますが、とにかく県都の熊本市がこれをもって都市景観整備にスタートしたということであります。 ところが、この計画を熊本市が構想を始めたころ、建設省が、六十二年九月であったようですが、「都市景観形成モデル都市の指定について」を打ち出しました。よって熊本市は、この指定を受けるべきか悩みつつ、県と相談の上指定を受けることにしたと言っております。指定日は昭和六十三年五月二日でありましたが、よって、今後熊本市は、この建設省指定の趣旨に沿った見直しも行わなければならないと言っております。 さて、この基本計画によって熊本市はどう景観形成を進めているかであります。多くが基本計画なるものは紙面の計画案に終わりがちでありますが、基本計画作成後速やかに田尻市長ほかこの関係者は実行に踏み切られました。よって、市民の目にも見えてきました。目に見えて、市民はびっくりしました。都市工事の長い歴史からして、市民はまた無計画な道路工事か歩道工事かと思っておりましたところが、工事が進行する中で、これは今までの工事とは違うぞとその完了に関心を持ち出したのであります。そして、市民会館前、熊本城長塀前、市役所前、これは県の工事であります。NTT九州総支社前、日本銀行前、銀座通り、それから市電のホーム等のすばらしい都市景観が市民の前にぱっとあらわれました。 また、この完了のすばらしい景観に一枚加わったものが電線の地中化による電柱及び電線の地上からの撤去であります。これには、一、建設省の九州地区電線地中化計画、六十一年より五カ年計画、二、熊本県電線地中化計画、六十二年より五カ年計画、三、それぞれの企業で行った単独のものとがあります。特にこれらの計画には、九電、NTTの人的・財政的協力があったと思います。特にNTTや九電は熊本県電線地中化協議会のメンバーとしてあり、NTTは、国の工事で六千四百七十四万九千六百四十六円、県の工事で一億六千六百八十五万七千二百七十五円、市の工事で四千二百六十万六千二百九十一円、計二億七千四百二十一万三千二百十二円の投資をしております。このような協力をNTTは名誉に思っております。この電線地中化の理念は、国においては、電線類の地中化は安全で快適な通行空間の確保、都市災害防止、都市景観の向上等の観点から有意義であったとして着実に推進をするとしております。 一方、細川知事が単県事業で進められました熊本県電線地中化計画方針は、  急激な円高による地域経済の落ち込みと雇用不安に対処し県経済の活性化を図り、内需を喚起するために国に頼るのみでなく、自立自興の精神に立って内需誘発効果の高い住宅投資、観光基盤の整備、余暇の創出等に重点をおいた本県の経済浮揚のための一方策として「熊本内発型内需振興策」を策定した。  この中で、電線類の地中化促進が決定され、これを受けて九州電力㈱、NTT等からなる熊本県電線地中化協議会を発足し、昭和六十二年度を初年度とする、熊本県独自の電線類地中化五箇年整備計画を策定した。この五箇年計画は、国の補助対象事業である九州地区電線地中化五箇年計画において、対象とならない箇所で特に景観に配慮すべき箇所を独自の計画で促進するものである。としておられます。 いずれにしても、国の計画、県の計画ともに電線地中化策は、内需拡大と都市景観のすぐれた政策であったことは言うまでもありません。しかし、これを進める過程においては、細川知事及び土木部長、その関係職員の関係団体に対する協力要請があったおかげであります。若いギャルがささやいておりました。「まあ、ここはヨーロッパみたい。写真を撮って」またある人は銀杏通りで、「あれ、ここに空があったのかな」と、まあこういった風景です。ヨーロッパやニュージーランドの町並みを見聞したり歩いたりして日本の都市景観に劣等感を持っていた者には、この声は涙の出るようにうれしいものでした。 いずれも基本計画に沿って実施をされ、そしてさらに景観整備は進められております。まず本年度は、橋梁景観整備が安巳橋ほか八橋。安巳橋って「セイ」はどんな書くか御存じですかね。辰巳の「巳」を書きます。約一億三千万円の工事で行われ、市民の前にそのすばらしさをあらわします。この橋のことで私ごとを申し上げて失礼でございますが、これも市議会議員のとき熊日の記者の方と話しておりましたら、「熊本の橋は全然魅力がない。橋に特色のある模様がえをするよう提案をしたらどうか」と言うのであります。例えば大甲橋といったら、ああ、あのイメージだというように。よしということで笑われると思いながらやってみましたところ、今後検討の回答で終わりました。ところが、昨年市議会を去って「本田さん、橋に予算をつけました」という連絡を市の土木関係者よりいただきました。静かに景観整備の中で計画をしておられたのであります。 また、坪井川周辺環境整備事業計画によって、坪井川の坪井橋から春日橋の間約三・三キロメートルについて、地域の特性を生かした散策道路、ポケットパーク、橋梁等の整備計画を策定し、景観に配慮した坪井川の環境整備を計画的、総合的に、六十四年度以降まちづくり特別債を活用して実施するということであります。事業費千四百九十万九千円、このうち県の補助が二百万ですね。県が行いましたキャブの資料もここにそろえておりますけれども、数字を挙げることは省略をいたします。このほか多くの景観整備が基本計画に沿って実行に移され、市民生活で快適さを与え得る都市に変貌していくことは自信を持ってよいと思います。 しかし、これを実行し実現させていくのには、当初の基本計画の「構想編」の「理念」の中でも述べておりますとおり、県の協力なくして計画の順調な進行はあり得ないと思います。また、熊本市は県のより一層の協力を希望しております。特に先ほどの橋梁景観については、県の所管である大甲橋等幾つかの白川にかかる橋に対して県の計画を望んでおります。このほかにも多くのものがあると思います。よって、私は熊本市区選出の議員として、県のこの計画に県としての最善の協力をお願いし、財政的にも今が一番実行しやすい時期と思いますので、財政面での協力もあわせてお願いする次第でございます。 また、都市像については、細川知事におかれては一つの都市像をお持ちのことだと思いますが、熊本市の都市像をどう考えておられるか御意見をお聞きしたいところでございますが、今後県として、熊本市の都市行政の中で強力な御支援をお願いすることで回答を省略いたします。 次に、熊本市は来年市制百周年を迎えます。よって、議会及び市長その関係者は、それを迎えるに最大の努力を払い、今後二十一世紀へ向けての基礎固めをしようとしておられます。記念事業として、一、熊本流通情報会館建設、六十二年度から六十三年度、二、総合婦人会館・カルチャーセンター建設、六十三年度から六十四年度、三、シンボルロード整備事業、六十三年度から六十六年度、四、地下駐車場、六十四年度から六十六年度、五、熊本市水源涵養林造成事業、六十四年度、六、武蔵塚公園建設、六十三年度から六十四年度、七、公衆トイレ美粧化、六十三年度から六十五年度、八、橋梁景観整備事業、六十三年度、九、市民会館前、これは終わりました。十、道路環境整備事業、六十三年度から六十五年度。現在調査、検討中が、シティーホール建設、記念公園、海洋水族館建設などがありますが、意見としてお願いをしますのは、一、熊本市の景観行政に県土木部としてはどうかかわっていくか。二、前に述べました橋梁景観整備として大甲橋などを県独自で進められる考えはないかどうか。三、歩道景観整備の今後の見通しについて、その計画を述べていただきたいと思います。 以上で終わります。  〔土木部長小野満司君登壇〕 ◎土木部長(小野満司君) 熊本市都市景観基本計画の実行に対する県の協力についてのお尋ねでございますが、御承知のように、本県では昨年三月、県レベルでは全国でも三番目の景観条例を制定いたしまして、県、市町村はもとより県民及び事業者が一体となって、地域の特性が生かされた景観の保全と創造が図られるよう推進しておるところでございます。その中では、市町村はそれぞれの地域の実情に応じた施策を策定し、これを実施するように努めることと規定しておりまして、市町村の積極的な取り組みを期待しているところでございます。 そういった中で、今回熊本市においては、自然的、歴史的都市景観の保全、再生と個性的都市景観の創出を目的とした熊本市都市景観基本計画を策定されまして、積極的に施策の展開を図られており、大変心強く思っております。 この計画の実行に当たりましては、県としても必要に応じ技術的援助を行ってまいるほか、お話の中にもあったように、坪井川周辺環境整備事業に係る計画策定費に対しましては、市長村景観形成促進事業の一つとして補助することにいたしております。 また、市域での県事業についても、お話の大甲橋については町並みにふさわしい橋として景観に適合するよう、今年度基本計画をまとめることにしておりますほか、明午橋、代継橋、白川橋についても順次橋梁景観整備を検討していきたいと考えております。 さらに、市の代表的な目抜き通りについては、緑化、植栽、電線類地中化などシンボルロード整備事業についても引き続き推進していきたいと考えております。 いずれにしましても、県都熊本市の景観は本県の顔ともいえるものでありまして、市の自主性を尊重しながら協力してまいる所存でございます。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) 橋など歩道、これから整備を進めていただくようでありがとうございます。大変御答弁をいただいて失礼でございますけれども、一つだけまた忘れておりましたので再度登壇をお願いします。 これは、先般の村上先生の質問にありましたけれども、都市圏道路の整備について、一応御回答がありましたけれども、次のような質問でお願いします。 第二回パーソントリップ調査の提案を受けて、昭和六十二年度より二十三路線の概略ルートについて検討協議会をつくって検討を行ってきたということと、そのうち十一路線約三十キロを、昭和六十二年度末より都市計画の決定及び変更に向け調査中ということでございますけれども、そのことがもし説明でもできますならばここでお願いをしたいと思います。  〔土木部長小野満司君登壇〕 ◎土木部長(小野満司君) ただいま熊本都市圏の都市計画道路についてのお尋ねでございます。 現在、五十五路線二百三十キロメートルが計画決定されておりまして、これまで百六キロの改良が行われ、改良率は四五・五%となっております。また、昭和八十年の熊本都市圏の都市構造に対応した総合都市交通のマスタープランが提案されまして、六十三年度は西回り道路野口清水線の花園町付近の変更も含めまして、二十二路線について熊本市とともに検討作業を行っているところでございます。 今後、検討作業を行う中で、緊急を要する路線から都市計画の決定を行っていきたいと考えております。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) どうもありがとうございました。この都市圏道路というのは、熊本市とまたその周辺町村にとりましては最も大切で、また念願をしているところでございますから、何とぞひとつ大変だと思いますけれども御努力のほどお願いをいたします。 それからもう一つだけ要望をさせていただきます。 今回の知事の提案理由の中にもありましたけれども、高度情報通信社会の構築に向けて、特に知事は情報資源都市構想を打ち出しておられますけれども、この中で、ソフト面の人材の育成、シグマ計画、これを打ち出しておられます。これにつきまして私の方も質問でも一度申し上げておりましたけれども、将来本当に人材が不足をすると思いますから、ひとつ何とぞ強力なソフト面での人材育成をお願いして私の質問を終わりますが、本当に議員先輩の皆さん方、同僚の皆さん方、内容の余りない質問でございましたけれども、御清聴ありがとうございました。また、知事ほか執行部の皆さん方の御答弁に心から感謝をいたします。傍聴の皆さん方もありがとうございました。これで終わります。(拍手) ○副議長(古閑三博君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明二十日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第六号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十一分散会...